私の仕事は剣をふるうこと。
国の為に、働くこと。
真選組は今日も忙しいのです。
「名前ー」
総悟くん、と手を振ると彼もひらひらと手を振り返す。
昼間から屯所にいるのめずらしいな、とか思いながら駆け寄ると、総悟くんは私に顔を近付けて、右手で壁を作って、私の耳元でこそこそ囁いた。
「今月の5日、土方さん誕生日ですぜィ」
その名前に驚いてばっと総悟君の顔を見るとにやりと笑って「俺は例年通りタバスコケーキでも届けまさァ」と言ってぽんと私の肩を叩いた。
総悟君には何事もばればれである。
でも何か勘違いしてるんじゃないだろうか。例え私がトシの事が好きだったとしても、別にトシが私の事好きなわけないし。
そう言って毎回プレゼントを買うものの、何だかんだで手渡し出来なくて、枕元にこっそり置いてくる。サンタか。お前は。
そう言うと総悟君は盛大な溜め息をついて、まあ精々頑張りなせェと投げやり発言を残してのろのろ歩き去った。
取り残された私はまた考える。そりゃあこの関係に終止符を打ちたいと、思わないでもない。だけど。バッドエンドは誰だって好まない。
だったらいっそこのままずっと、彼の隣にいられれば。
そんな自分のマイナスな考えに自分でも溜め息が出る。
「オイ名前ー」
そんな中ひょっこりと顔を出したのはトシ。問題の彼。
「マヨラ…」
「…お前は俺にそんなに殴られてェか」
「滅相もございません」
それで何の用?と聞けば仕事だと言う。攘夷浪人が町で暴れ回ってるんだと。
外回りの仕事は久しぶりだ。最近は書類処理ばっかりだったから。
ちょっとうきうきしながらトシを見ると、そんな私に気付いたのか、笑った。
たまにしかみせないトシの笑顔が、すき。
願わくば彼の隣にいたい。これからもずっと。それが上司と部下、それだけの関係だとしても。
来いよ。
そう言って歩き出す彼に、私は着いていく。歩幅の違う彼の背中を追いかけて。