ある朝ふと、私は今私の内にあるこの衝動のままに生きたいな、と、そう思った。

別に何があるでもなかった。いつもと同じ朝。いつもと変わらぬ日常。だったはずなのだけれど。

「はて、とうとう頭がイカれたかな」

鏡の前で眼球に指を突っ込んだ。いや言い回しが誤解を生むけれど、ただコンタクトを入れただけ。

赤いスカーフが揺れるたび、その想いはふくれてふくれて、あろうことか私は朝の通学路を駆け出した。

ああどうしたことだろう。衝動だけが今のわたしを動かしている。そんな気さえした。


「しんっすけっ!!」


がつんと体当たりをするとその紫に輝く髪が揺れた。無言のままじろりと私を睨み付ける。その瞳。その視線。そうそうそれなの!わたしの胸がどきん!と跳ね上がった。


「あたしあんたとセックスがしたい!!」


きらきらした目で見詰めると晋助ははあ?と間の抜けた返事をした。


「とうとう頭涌いたかお前」
「なんかそうみたい」
「自覚してんのかよ」
「知らんけど朝から晋助がすきですきでしょーもないのね」
「はあ」

だからって第一声があれはないだろ、と呆れたように笑う晋助の手の平をぎゅっと握り締める。冷え性な晋助の手はオールシーズンいつでもひんやり冷たい。むふふ、と笑い声が漏れた。あかん。不審者すぎる。


「手が冷たいひとは心があったかいんだよ」
「手が温かい奴は心も温かいとか都合良いことも言ってるけどな」
「晋助の手がつめたいから、わたしは安心して晋助にセックスを求められるのですよ」
「意味わかんね」


とか言うくせにしっかり手を握り返してくれる晋助。そうゆうとこもすき。ほんとすき!だめもう好きすぎて死んじゃうかもしんない!


「死ぬ前にやっぱり一発かましときませんか!」
「言い方が下品すぎる」
「いーじゃん」
「よくねえ!」
「これから学校とかめんどくさいねえ」
「なんかたりーな。フケるか」
「わーい!」







「若い時にやりたいことはヤっとかなきゃ」
「なんかお前が言うと卑猥なんだよな」
「気のせいじゃない?」



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