ゆらゆらと揺れる蝋燭の炎のように、曖昧で、不確かで。

淡い恋心、なんて表現が出来るのは青臭い十代だけだと私は公言する。


十代を過ぎると、なんだろう。それは軽く執着心にも似た何かへと変貌を遂げるんだと思う。

とかなんとかべらべら言っているけれど、私が彼に抱く感情はそんなものでは全くなくて、もっと別の、別の感覚。


「なんなんだろう。本当」
「は?」
「よくよく考えてみれば晋助ってなんもしてないじゃん。ぐーたらしてるだけじゃん。ただのニートじゃん」
「殺すぞ」
「なんでこんなプー太郎とあたし一緒にいんだろ」
「俺が知るかよ」
「まーそうだよね」


会話終了。
聞きました?この人今の会話で12文字しか喋ってませんよ。ボキャブラリー少なっ。もっとつっこんでくれたっていいじゃん。もっと興味を示せよ。

最初は何だっけ。なんか強烈に頭悪い発言で俺に着いてこい的な事を言われたんだっけか。変な奴だなあとか思って興味だけで着いてきたんだった気がする。

あの頃も今も、晋助の飢えた獣みたいな目だけは、変わらなくて。


なんて言えばいいだろう。


「晋助に惚れたのかなー」
「あ?」
「なんか溜め息出るほど馬鹿野郎すぎてほっとけなくなったとゆうか。逆に面白くなっちゃったと言うか」
「本当にお前は殺されてェのか」
「愛してやりたくなったんだよね、晋助の事」


この気持ちを何と呼ぼう。

一人で勝手にずんずん歩いていってしまって、勝手に孤独と勘違いして、破壊衝動に駈られて、馬鹿みたいに後ろを見ないで走り続けるこの男を、どうにかして停まらせたかったとゆうか。

あんたの事愛してる奴がここにいるんだと、気付かせてやりたかったと言うか。

口で言ったってわかんないような馬鹿野郎だから、わかんないかもしんないけど。


包み込んでくれるようなあったかい愛情を、本当はあんたは知ってて、本当はその心の奥底から涌き出るような愛が欲しくて、そんな愛に飢えてたんでしょう。


恋心とか執着とかを越えて、なんだろう。私はあんたを愛してるのかもしれない。そんな私も大馬鹿野郎だよね。


はん、と小馬鹿にしたように笑う晋助。てめえ何当たり前の事言ってやがる。だってさ。お前こそ当たり前だと思ってんじゃねーぞ馬鹿野郎。


晋助が馬鹿だから、仕方ないからその馬鹿に付き合ってやろう。愛してやろう。傍にいてやろう。

いつのまに私もこんな馬鹿野郎に惚れたらしいし。



Stand by you.



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