恋とは一種の病気だとかそんな話を聞いたことがあるけれど、私はまったくもってそのとおりだと思っている。

「なーに黄昏てんでィ」

窓から下を眺めていたら後ろからチョップをくらい、脳天に激痛が走る。いってぇ!まじいてえ!!

「何すんだコラァァァ!!」

「うわっひっでェツラしてんなァ」

「うっさいわハゲ!花粉症なんだよ!」

常日頃から常備している箱ティッシュから一枚しゅっと抜き取って、ちーんと良い音をたてながら鼻をかんだ。
それをいつもの趣味の悪いアイマスク越しに見つめる沖田。

「…てかあんたよくアイマスクしてて前見えるよね」

「うっせェハゲほっときやがれ」

「……まさか…あんたも花粉症」

そう言うやいなや素早くアイマスクをとってやると酷く赤く腫れた目が露出。うっわあひでェ!!

「ひっでェ顔…!」

「うるせェ」

「天下のイケメン沖田が台無し…!」

「まじ黙りやがれお互い様じゃねーか」

「わたし目じゃないもん鼻だもん」

「アンタにこのじわじわと掻きむしりたくなる衝動がわかるめーよ」

「その言葉そのままアンタに返す!」

「つーか何で窓開けてんでィ閉めろ花粉飛んでくる」

「それもそーだ」

ぴしゃんと窓を閉めて振り向いた瞬間沖田の腕がにゅっとのびてきて私の鼻をぎゅっとつまんだ。

「ふがーっ!!はみすんにゃーっ!」

「いいじゃねェか花粉症カップルってーのも」

「は!?はんもひょくなひ!!」

「何言ってっかわかんねェよ」

「もひたばーかばーかひねどえふ!ひみかたとひねばーか!」

「…そりゃあどーも」

にたりと笑う沖田。わかりやすすぎたらしい。わわわやばいやばい半殺し決定だ!!
反撃しようと口を開いた瞬間にばしっと塞がれる私の口。うわっふ!!何この至近距離!!沖田手ェでけー!細っ!うわあ!うらやましい!

てゆうかさっきからドキドキ言ってるこの胸はなんなんでしょう?

「覚悟しとけィ」

「んむう…!」

「俺ァアンタの事が好きなモンでね。簡単にゃあ逃しやせんよ」


あーころっと、何かわたし落ちた気がする。まあ人は顔じゃないよね。何たってわたしこの腫れまくった赤い赤い目のぶっさいくな人に今このタイミングで惚れたわけですから。

恋は病気だ。
突然災厄のように降りかかってきてどうしようもなく熱に浮かされる。

はあ、それが恋だってんならいいよいいよ。はまってやろうじゃないの。ええそうですよ。私は沖田に恋したらしいです。



恋 は 病


じょーとーひゃらいの
だから何言ってンでィ
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