「……っ……」

「好きなんでさァ、名前」


好きよ、私も、

そう。そう思うのだ。私は素直に総悟の事が好きだと思う。好き。好き。愛してる。愛。だけれどもそれは特定の誰かに向けた愛じゃない。私も。彼も。その愛は複数存在していて。

「名前」

「そう、ご…っ」

そんな風に名前を呼んで、見つめ合って、熱く熱くきつくきつく抱き締めて、彼は私の首にきつく吸い付く。
甲高い声が洩れる。彼は人の肌の触れ方が慣れている。
消えない所有印。
こんな物がなければ私達、生きていけないなんて

なんてなんて滑稽な愛

血、肉、皮、骨、その薄っぺらい皮膚の下にあるもっと内部、もっともっと内側に触れたくて、触れられなくて、僕らは交わる事すら出来ない。君と1つになりたいのに。否違う。私達は誰かを欲して誰かと生きたくて誰かを愛したくて誰かから愛されたいと願っている。探りあって繋がれない事実に絶望して、それでいてまだ生きている。

僕らは独りぼっちだ

人を愛せない愛して欲しい愛が欲しいそうして他人を求めても足りない足りない足りないどうしてだろう誰と何人とセックスしたって結局は私達ここに戻ってきてしまう。何故、何故、

私と彼の不器用な愛






愛して下さい



そうしたら私も君も
自分を愛せる
きっと。きっと。
嗚呼、なんて滑稽な愛




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