朝、凪君に今日が誕生日なんだよって言ったら、凪君は驚いたような顔をした。佳織ちゃんに言ったら、「当日教える馬鹿はいない」って言われた。…うーん、やっぱり前もって言った方が良かったのかな?でもさ、別にプレゼントが欲しいわけじゃないから、当日言ってもあたし的には良かったんだよね。誕生日おめでとうって、ただ一言、そう言ってくれたら幸せなの。あ、好きだよって台詞も言って欲しいかも。へへっ!

……と、謙虚で控えめなお願いだったのに、それすら叶わなかったのは何故でしょうか。その日凪君は、おめでとうすら言ってくれなかった。誕生日って事を当日教えたのがいけなかったのかな。恐る恐る「怒ってる?」って聞いたら、にこりと笑って一言。

「何に?」

ひええええ!こりゃ完璧怒ってるね!笑顔の裏に隠された本音が怖いよ凪君。でも、そんな顔も素敵です!その顔で「死ねば?」って言われたら死ねます。幽霊になったら凪君とずっと一緒にいられるね。へへへ。

そんな感じで、あたしの誕生日は終わりを告げようとしてました。生徒会ミーティングを終えて、凪君と一緒に帰って、途中で別れて、家に到着。友達からはいっぱいプレゼントを貰ったし、お祝いの言葉も貰ったけど…凪君からの「おめでとう」が聞けなかったのはやっぱり寂しい。お姉ちゃんからも、珍しく元気がないねって言われた。お母さんお手製のケーキを食べても、お父さんからプレゼントを貰っても、寂しさは晴れなかった。こんな事になるなら、ちゃんと前もって言っておけば良かったな…。

そう後悔し始めた時、お姉ちゃんが一通の手紙を渡してきた。切手は貼られていない、真っ白な封筒。多分直接郵便受けに入れたんだと思う。封筒の真ん中にはあたしの名前が書かれていて、その綺麗な文字を見ただけで差出人は分かった。寂しいって気持ちが、一気に無くなる。

「うわっ、気持ち悪い顔」
「気持ち悪くてもいいのー!」



9月22日、晴れ。
その日初めて、凪君からラブレターを貰った。

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