「……………っ」


ずるずると、背を木に預けてゴールドは崩れ落ちる。


「………居るんだろ、そこに」


余裕のない声で、誰だ、と問われた。


それは、バトルフロンティアで自分たちを助け、導いてくれた先輩のものとは思えないくらいに、弱く、消えそうで。


「…立ち聞きする気は、なかったとよ」


姿を見せれば、ゴールドは目を見開いて、それから、自嘲気味に笑った。


「野生児ギャルか………。


どこから聞いてた」


「………途中からったい。どうしても屋敷には帰って来てくれないのか、みたいなとこ」


「ワリーな、朝から面白くないモン聞かせちまった」


「……………」


「他の奴らには言わないでくれ」


「……言えるわけなか。


言えるわけ、なかとよ……!」


サファイアのその叫びも、それに応えたゴールドの呟きも、




舞い上がる木の葉と共に消えた。





→あとがき








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