「………泣くなよ」
「…っお兄様が泣かないから、」
ゴールドが、ぽんぽん、と、赤子をあやすようにプラチナの背中を叩く。
「お前みたいな兄貴思いの妹が居て、オレは幸せだぜ?」
「………うそつき」
「嘘なんかついてねぇよ」
「………私を、怨んではいないのですか」
「何で怨む必要があるんだ」
怪訝そうな表情で、ゴールドは言う。
「お兄様の居場所を奪ったのは私です。
お母様とお父様に、私は愛情をいただきました。
けれど、お兄様は………っ」
「………あーもう、そんなに自分を責めるなよ」
「トラウマをつくってまで、私を愛さなくても良かったのに!
お兄様が幸せになれるなら、」
「……アレは、仕方がないんだ。
オレなら大丈夫。だから、気にするな、って何度も言っただろ?」
「…っでも、あの日以来、お兄様は自分の誕生日を祝うことをしなくなったと聞きました!」
「!!」
知っていたのか、と、ゴールドは零す。
「………悪い、プラチナ。
オレを一人にしてくれないか」
「!」
その言葉に、プラチナは直感した。
「…思い出させてしまいました……!?」
「いいから、」
頼むから、と言わんばかりの金瞳に、プラチナはぎゅっとこぶしをにぎる。
「ごめんなさいっ……!」
そして、プラチナは走り去って行った。
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