「考え直しては、下さらないのですか」


神妙な面持ちで、プラチナは呟いた。


「言っただろ、オレはもうあの屋敷に帰らない」


ゴールドのこたえに、プラチナは声を荒げた。


「……っ!待っているのですよ!?


私も、使用人たちも、お母様も、」


「そうかもしれねぇ。だけど、あの人はオレを見てはいない。


戻れば必ず、オレは此処に帰れなくなる」


「………それは…」


眉根を寄せ、俯く。


「わかってるだろ、プラチナ。


お前はあの人に愛されている女の娘。


だから、ある程度は自由なんだ。


縛れば、自分が愛した女を悲しませることになるんだからな。


だけど、オレは違う。


一時の気の迷いでデキた愚息。


しかも、一時でも愛した女は既にあの世だ。


これ程都合のいい道具が、そうたやすく手放される訳がない」


軽く自責の入った言葉に、プラチナはさらに眉をさげた。


「………お兄様…」


「……泣きそうな顔すんなよ、プラチナ。


悪いのは全部オレなんだ。


次期当主の座を投げ捨て、ジョウトに逃げ出した。


お前に、次期当主の座を強制した。


オレが……………」


「違いますわ、お兄様は悪くない!


悪いのは私、お兄様を連れ戻そうとしている私です!」


ついに、プラチナの瞳から涙が零れた。













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