相も変わらずシロガネやまに篭っていた赤のところに、恋人であるゴールドがやって来たのは実に2週間振りのことだった。
「赤ーっ、久々ー!」
手を振り、吹雪の中赤に走り寄ったゴールドの首に見慣れないモノを見掛ける。
「………ゴールド…、そのマフラー、何…?」
首に巻かれた紫槐色のマフラーに、赤は眉間に皺を寄せた。
「あぁ、コレ…?
今日、マツバさんが………」
「……マツバ?」
緑の家で、緑がポケモン協会の仕事をしていた時に、その書類で見掛けたことのある名前。
確か、ジョウトのジムリーダー。
「………なるほどね」
千里眼を持つという男。
確か、金髪に紫色を基調とした服装で、マフラーもしていたハズだ。
「(自分の身につけたモノを他人に持たせれば、ある程度離れていても千里眼で見渡せる。
……ストーカーまがいなことを)」
しかも、マフラーは先日赤がゴールドの首筋につけた"痕"を隠すようにまかれており、これが宣戦布告であることは目に見えていた。
「…赤……?」
「………だったら、黙って見てればいいさ」
「………?何言って……ッ!」
疑問符を浮かべるゴールドの唇に、噛み付く。
執拗に舌を絡ませて、赤はゴールドの首から自然にマフラーを解いた。
宣戦布告。
「(でも、)」
「(この先は見せてあげない)」
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