久々に帰った自分の家で、ゴールドは台所に立った。
帰って来たはいいものの、母親は近所の主婦たちと1泊旅行。
自分1人ならばカップラーメンや携帯食などで片付けるところだが、来客者が居るとなるとそうもいかない。
「………で、赤。何か食いたいモノあるか?」
「ゴールドが作るものなら何でもいいよ」
シロガネやまで初めて赤に料理をした時から、料理の腕前を知っている為か、よく料理を食べに来ていた。
昨晩、「母親が居ない」と伝えたら、「じゃあ泊まりに行く」と言う流れでここに居る彼に、粗末な物は食べさせられない。
「……………」
冷蔵庫(の中身)と相談しよう。
そう考えて、ゴールドは冷蔵庫を開けた。
「……………」
どん、と効果音が付きそうな机の上の料理に、赤は驚いた。
白いほかほかのごはんと、小松菜のおすいもの。
そして、さばの味噌煮とほうれん草のお浸し。
純和風。その出来の良さに、赤は箸を取れなかった。
「………もしかして、嫌いな物とかあったのか…?」
お門違いな問いに、赤は笑って「違うよ」と言い、箸を取る。
ぱく、と一口。
「………ゴールド」
「なっ、なに?もしかして…」
口に会わなかったか…?と続くハズだった言葉は、続かなかった。
「……おいしい。さすが僕のゴールド」
「なっ、バカッ!」
赤の言葉に、ゴールドがほんのりと顔を赤くしながら、照れ臭そうに笑った。
「…これから毎日、僕の為に朝ごはんを作ってよ」
林檎のように赤く。
「……なぁぁあっ…!」
顔を真っ赤にしたゴールドに、「あ、これプロポーズの言葉だ」と赤が思い出すのに時間はかからなかった。
|