いつも通り、と言えば常識的にマズい気がするが、シルバーは窓のレールに足を踏み入れる。

窓からの訪問はこれでもう何回目だろうか。

それでもいつも窓の鍵は開いているから、この部屋の主は玄関から入ってくるのを望まなくなったようだ。

「…だから、玄関から入って来いって」

そんな台詞も、最近は聞かなくなった。

クスッ、と小さな笑みを零しながら、シルバーは部屋へ侵入する。

「……………」

部屋の角、机と椅子がおいてあるスペースに目当ての人物を見つけ、その人物が本を読んでいることを確認して、

「…ゴールド」

と呼び掛けた。

「………!」

その声に反応して、ゴールドが振り返る。

何故か口で無音を紡ぎ、それから何かを思い出したようにペンをとった。

【よぉシルバー。また窓からかよ…。

悪いけど、今風邪ひいててさ、声出ないんだよ】

つらつらと文字を目で追えば、声が出ないという事実。

シルバーはゴールドにバカが……と呟いて、椅子に腰掛けた。

「…………?」

「クリスなら少し遅れるそうだ」

「……………」

「『窓閉めろ』…?

何だ、寒いと言うのか」

「………………」

「お前の場合はどうせ風呂入った後湯冷めするのも気にせずに屋敷のポケモンに構ってたからだろ。

…ったく、自分の体調にも気をつけろと前にも言っただろ」

「………………………………」

「『説教は母さんだけで充分だ』?

安心しろ、きっと後でクリスにも怒られるだろう」



繋がる言葉



「………なんでシルバーはゴールドの言いたいことがわかるの…?」

1時間後、遅れてやってきたクリスタルにそう言われたのは言うまでもない。


 








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