「〜♪」
最近流行りの歌を口ずさみながら、ゴールドは携帯用炊事道具に火をかける。
とは言っても、ここはシロガネやま。台所とかそんな設備が備わっているワケではなく、相棒の炎を扱って、なのだけれど。
「……バクたろう、もう少し火ィ弱めてくれるか?」
最近ではこのコンロ扱いにも慣れた(といえばポケモンに対して失礼だな)バグフーンにゴールドは感謝しつつフライパンの上のハムとたまごを熱す。
「……………」
「…赤!おはよう」
調理していると、先程まで夢の中だった赤が起床し、いつの間にかゴールドの横に居た。
朝だけ低血圧のゴールドとは違い、赤は常に低血圧。そのテンションの低さに最初は戸惑ったけれど、今では平然としていられる。
「………ハムエッグ…?」
のそっ、という擬音とともに、赤がゴールドの後ろから覆いかぶさる。
それでも最低限邪魔にならないように配慮してくれているのを理解して、ゴールドは手を動かした。
「
新婚夫婦
みたいだな」
久々に登ってきた緑に言われて、赤は
「何を今更」
と言い、ゴールドはただ赤面するだけだった。