陸地の最果て、海の始まり。
ホウエン地方のミナモシティに、ふわりと舞い降りたのはトゲキッス。
その様子を、1人の少年が見守っていた。
「ゴールドさん!」
トゲキッスの背中から、誰かが飛び降りる。
一瞬、逆光でシルエットしかわからなかったが、すぐに色彩が現れる。
個性的な前髪に、黄金色の瞳が印象的に微笑んだ。
「おー、エメラルド。わざわざ迎えに来なくたって良かったのに」
ミョーチキリンボーイ、ではなく、エメラルド、と名を呼んだゴールドに、エメラルドはぽかんとする。
「………どうした?」
「えっ……、いやっ………」
吃るエメラルドに、ゴールドは「?」を浮かべながらも、背後からの衝撃に押し潰された。
「「ゴールドさん!」」
「ぐぇっ……」
「…ルビー、サファイア、ゴールドさん潰れてるぞ」
ゴールドに後ろから抱き着いたのは、紅の瞳と蒼の瞳。
なんとか受け身を取ったゴールドが「重い、どけっ!」と言ったので、2人は渋々と言った形で退いた。
「久し振りったい、ゴールドさん!」
「今日はまたキンテツシティに行くんですか?」
「それとも育て屋っと?」
ニコニコしながら2人はゴールドの両脇を陣取る。
完全に出遅れたエメラルドは、仕方なしに3人の後ろに続こうとして、しかしそれは敵わなかった。
ひょい、という擬音が聞こえてエメラルドの身体は浮く。
「なぁっ…!?」
お散歩日和。
「オラ、何やってんだ。
お前が一番遅いのに後ろにまわるなんて、はぐれっぞ」
「こっ…子供扱いするなー!」
「ゴールドさんに肩車してもらうなんて…」
「う……羨ましか………」
「ルビー、サファイア、エメラルド。
今日はさ、お前らが行きたいところをオレに教えてくれよ」
「「「!」」」
「だ、だったら、僕のコンテストの師匠がルネシティに……」
「フエンタウンなんかどげんね?温泉あるし、ゴールドさんの好きなフエンセンベイの……」
「かっ、カラクリやしきなんてどうだ?
カイナシティの近くにっ…」
「わかったわかった、わかったからちょっと待て1人ずつにしろ」
|