「なぁ、プラチナ……」
「何ですかお兄様。
起き上がったら怒りますよ」
「………あの」
「手、動かしたらシバきますよ」
「……………プラチナ、」
「喋ったらこの本、顔に落としますよ」
「………何だよオマエ!
反抗期!?反抗期なのか!!」
白い部屋の白いベッドの上で、身体に数ヶ所の白い包帯を巻いたゴールドは、此処が個室だというのを良いことに遠慮なく叫んだ。
「反抗期ですって!?
私がお兄様に反抗なんかするわけないでしょう!!
今まで一度だってお兄様に反抗したことがありましたか!?
お父様には問答無用ですが!!」
今この場に兄妹以外の誰か1人でも居れば「思春期のブラコン」とツッコミをいれたのだろうが、幸か不幸か此処には兄妹しか居ない。
話がズレたまま、2人の口論ははげしくなった。
「大体かすり傷くらいで大袈裟なんだよ!
こんなの舐めときゃ治るっつーの!」
「何がかすり傷ですか!お兄様、今日こそ言わせて頂きますけどね!
ポケモンの攻撃を生身で受けるだなんて、バカのすることです!」
「おまっ、失礼な!
大体なぁ、普通に考えてみろ!スピアーの巣に突っ込むバカが何処に居る!」
「ミツハニーの巣かと…」
「トキワの森はカントーだろーがァァア!
つーかミツハニーの巣も危険んんん!!」
お兄ちゃんそんな風に育てた覚えありません!とゴールドがシャウトした。
だから結局どうしたの!
「とりあえず退院手続き!」
「任せて下さい。退院祝いの品は何が宜しいですか?」
「いらねぇし金無駄遣いすんな。
とりあえず医者に書類貰って来い」
「わかりました」
「自分で行けよ」
「院長室はどこですかね?」
「何故院長なんだ」
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