むかしむかし
あるところに"きょうだい"に虐められる子が居ました
「ねぇねぇ、これなんかゴールドに似合うんじゃない?」
「ブルーさん、こっちのミニ系のキューティードレスなんてどうです?」
「わぁ、クリスタルさん、それ可愛いですね。
だったらロングブーツがいりますよ?」
「イエローさん、これなんてよか?
レースつきのブーツったい」
虐める、とは少し言葉に語弊がありました
「………あの…
オレ……男なんスけど………」
『精神的に』または『プライド的に』姉妹に虐められる弟が居ました
「何言ってんのよゴールド。
今夜のお城のパーティーに、行くって言ったのアンタでしょ?」
焦げた茶色の長髪を靡かせて、長女のブルーはスパッと言い切る。
「オレは、『王子ってどんなヤツ?』って聞いただけだろ」
反論したのは、前髪が特徴的な長男のゴールド。
先程も言った通り、男である。
「まぁまぁ、ゴールドさん落ち着いて?」
黄色い長髪を高い位置で纏め、次女のイエローはゴールドに微笑んだ。
「そうよゴールド。ゴールドが王子に興味があるみたいだからわざわざ会わせてあげようって言ってるのに」
深藍色の髪を2つに結った三女でゴールドとは双子の兄妹であるクリスタルが、ドレス片手に振り返った。
「だからって…
なんでオレがドレス着なきゃなんねーの?!」
「ゴールド、ドレス似合いそうだから…」
「そういうことったい」
琥珀色の明るい髪がゴールドを擽る。
ゴールドの妹にあたる、四女サファイアが抱き着いている(というか、羽交い締めされている)のに気付いたのは、2人の姉が自分の服に手を掛けた時だった。
それはそれはむかしのおはなし
「いい?0時を越す前には帰るから、声掛けてね」
「え?何で0時なんですか?」
「夜は大人の時間よ。もしも可愛いゴールドに何かあったらどうするの!」
「その前にオレが行くことは決定なんスか」
「何かあってからじゃ遅いものね…。
ゴールド、男なんてみんな獣だから気をつけるのよ」
「クリス、お前オレもその獣に入るってわかってる?」
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