「………オレとしたことが…」

とんでもないミスを犯した、と嘆いているのは、ゴールド。

その肩には、ピチュとピカが「あーぁ」とでもいうように乗っていた。

1人と2匹の視線の先には、前髪を花柄ピンでとめ、くせ毛をワックスで伸ばし、顔に化粧が施された………。

「………覚悟はいいよな?ゴー」

「………レッド先輩」

セキエイリーグチャンピオンの、レッドが居た。



そもそも、ここはレッドの家。

たまたま遊びに来ていたゴールドは、レッドと世間話をしたりお昼を頂戴したりしていたのだが、眠くなったのかうとうとと舟を漕ぎはじめたレッドをゴールドが「寝てもいいっスよ」と寝かしつけたのが一時間前。

そして、暇になったゴールドがレッドの家を漁り、化粧道具を見つけたのが30分前。

さらに、いたずら好きのピチュとピカに唆されてその化粧道具を手に取ったのが、20分前。

「オレは悪くないっス。化粧品があったのがいけないんだ」

「…化粧品……?げっ、これブルーのじゃん」

ゴールドが持っていた化粧品に目を向け、レッドが答える。

「ブルー先輩のだったんスか…。

道理で化粧のノリが………」

「……………」

「笑顔が恐いっスよ、先輩」

真っ黒な笑みを浮かべたレッドに、ゴールドは冷や汗をかいた。

「………はぁ、もういいよ。

別に最初からそんなに怒ってないし」

「………ホントに?」

レッドの言葉にゴールドは、初めてまじまじとレッドの顔を見た。

化粧されてより長くなった睫毛。

長い前髪をピンでとめた為、いつもよりハッキリと見える赤い瞳。

「………美人だよなぁ」

「……………ゴールド」

気付けば、レッドの顔は超至近距離でした。



女装彼氏。



「でも、バツとして今日は家に帰さないからな」

「………え?」


 








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