「今から進路希望の紙を渡す。
最終決定だから、しっかり自分と相談しろよ。
今日のLHRで集めるからな」
そう言って、教師は前の列の奴らにプリントを配る。
まわってきたプリントを睨んで、ゴールドは溜息をついた。
「クリス、お前、進路はどうするんだ?」
「私?…進路って言っても、ここ中高一貫の進学校じゃない。
このまま高等部に進学するわ。
そういうシルバーは?」
「俺もだ」
ブルー姉さんが高等部生徒会で待ってるしな。
とシルバーが言うと、クリスタルは、
シルバーらしいわね。
と返す。
「ゴールドはどうなのかしら?」
「アイツは入学試験がイヤで中高一貫に来たんだろ?
高等部に進学するだろ。まぁ、出来たらの話だが」
「シルバーったら………」
昼休み、他愛もない会話をしていたシルバーとクリスタル。
そんな2人に、廊下から、ある人物が話し掛けてきた。
「シルバーくん、クリスタルさん!」
高等部1年、金髪を1つにまとめて長い髪を結う。
「…イエローさん」
「おれも居るんだけど?」
「レッドさん!」
赤い瞳が、うわぁおれ影薄い?と嘆く。
そんなことないですよ、と、イエローはレッドに言いながら、2人に問い掛けた。
「高等部の生徒会新聞でですね、今の中等部3年生の進路の記事を書こうと思いまして。
お2人の進路を聞いてもよろしいですか?」
その問いに、2人は顔を見合わせて、言った。
「……このまま、高等部に進学しますよ?」
「だよなー」
クリスタルのこたえに不服そうにレッドが零す。
「基本的に、ここから離れる奴なんかいないんだよ。
こんなのアンケート調査したって、結局みんな同じ答えだって。
………あ」
レッドの視線の先に、誰かがうつった。
「ゴー!」
「………レッド先輩?」
茶色の大きい封筒を抱えたゴールドが、振り返る。
4人に気付いて、走って駆け寄った。
「イエロー先輩も、何してんスか?」
「生徒会新聞の取材で、進路を聞いてたんです」
言われて、ゴールドはシルバーとクリスタルを順々に見る。
「……………」
「ゴーは?やっぱ高等部にそのままだよな」
レッドの問い掛けに、ゴールドは視線を逸らした。
「………あー、」
何かを言おうとして、けれどその声は背後からゴールドを呼ぶ教師の声で掻き消された。
「ほら、これもだ」
もう1つ、封筒を渡され、ゴールドは中身を確かめる。
「……何なんだ、その封筒」
反省文か、と言ったシルバーに、ゴールドは違ぇよ、と答えた。
「特待生入学の資料だよ。あと、推薦書」
「「「「………は?」」」」
「………あれ、シルバーたちにも言ってなかったっけか?
オレ、高等部には進学しねぇよ?」
聞いてないけど!
「………あれ、赤、何やってんだ?」
「あぁ緑…。ちょっと資料改ざんしてた」
「………は?」
「あとは先生たちを脅して………ゴールド落としたら………フフフ」
「へぇ、ゴールドの奴、こっちに来るんだ。
………って今なんて言った?」
「ゴールドが僕の家に泊まり込んでまで、必死で勉強してきたんだよ?
その間の生殺し具合と言ったら……いや何でもない」
「………赤…お前……」
|