「……………」
「……………」
「……………赤?レッド先輩?」
睨み合う2人(と言うか、レッド先輩は赤を笑顔で見てるだけだし)(赤はいつも以上に無表情だし)の間で、ゴールドことオレは困惑していた。
ここはシロガネやま。強者だけが生き残れる自然の要塞。
そこで、半袖な2人は何故かいがみ合っていた。(何?ついに風邪ひいたのか?)
「………邪魔。僕がゴールドとバトルするんだから退いてくれない?」
「…は?おれはいつもここで修行してんの!ゴーと!」
「知らないよ。ここはキミの、って決まってるワケでもないのに」
「お前の、とも決まってないけどな」
「………今日はこれから頂の方は吹雪くから、上で戦ったらゴールドが風邪ひくじゃない」
「…確かにそんなカンジするけど、じゃあゴーはここでおれと修行するからお前帰れば?」
似てる2人は喧嘩する、ってか?つーかシロガネーゼ(シロガネやま依存症患者)はシロガネやまの天候とかわかんの?
結局どこも吹雪じゃねぇか。
もはや会話に入る気も失せたオレは、レッド先輩のピカと赤のピカチュウ、そしてピチュと雪うさぎを作ることにした。
あ、ピカうまいじゃん。
散々何かを言い争って、赤とレッド先輩は最終的にバトルをすることになったそうだ。
危ないから、と2人に離れるよう言われて、邪魔にならない程度に退く。
ダメだ、暇すぎる。
オレはポケギアに手を掛けた。
pipipi…
『よっ、ゴールド!どうした?」
「あ、緑久し振り。なぁなぁ、………」
『………あー、そりゃあ災難だな。
つーか、モテモテだなお前』
ある程度の流れを説明して、緑は笑いながら言った。
「いや、男にモテても困るんだけど?」
ゴールドの言葉に、緑はまた笑う。
『ま、そのうち終わるだろ。
終わらないようなら、典型的だけど………』
「………さっきのか…」
先程、緑が提案したことを思い出す。
……でも、アレは。
「…下手すりゃ緑、赤に殺されるぞ」
『下手しなくても殺されるだろうな。
まぁ、かわいい弟分の為だ。今から即行でマサラタウンからシンオウに逃げる』
そう言った緑に小さく笑いながら、ゴールドは未だバトルを続ける2人に「おーい」と呼び掛けた。
「まだ2人でバトル続けるようなら、オレ、緑ん家行ってもいいっスか?
久々に緑にも会いたいし」
『ついでに泊まりに来いよ』
「それもいいな」
緑の声をバトル中の2人に聞こえるように会話すると、唖然とフリーズする2人。
「「……………」」
最初に我を取り戻したのは、赤だった。
「………殺(や)る」
「赤、目が本気だぜ」
その言葉につられて、レッドも笑顔で言う。
「………空気よめよな!その緑ってヤツ。
殺るの、手伝うぜ」
「先輩が空気を語るとは思いませんでした」
『あはははは!
じゃあなゴールド!(ブツッ』
緑が電話をきった瞬間、後ろでリザードンとプテラが羽ばたく。
それを呆然と見ていると、ひょい、とゴールドの身体が浮いた。
気付けば、赤の後ろ、リザードンの上。
一人にしてごめん。
「緑への制裁が終わったら、一緒にごはん食べよっか」
「おれ、美味いトコ知ってるぜ!」
「…喧嘩しないで下さいよ?」
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