「・・・おい」


「あんだよ」


「すまん」


ドアの向こうから聞こえた短い謝罪に、ゴールドは頭を抱えた。謝られても困るがそれだけでも複雑な気分だ。


「フツーなら住居侵入で突きだす所だけど、おめーをここに呼んだのは俺だったよなそうだよな。


そんでもっておめーはいっつも玄関から入らないで俺の部屋の窓から来やがる。


今日もそうして俺が居ないもんだから部屋の中で待ってたんだろあーあー、忘れてた、忘れてましたよすいませんね!


いい加減にしろコノヤロー!!」


ゴールドは支離滅裂な言葉をまくしたてると項垂れた。


時間の指定はしなかったものの、今日はシルバーを呼んでいたのだった。迂闊にも程がある。情けなくて涙が滲んできた。そこで気付いたが、結構寒い。


カチャリと控えめにドアが開かれて、ゴールドはギクリと肩を弾かせたが、少しだけ開かれたドアから覗いているのはシルバーの腕だけだった。


その手には彼の上着が握られている。


「とりあえず着とけ。風邪をひく」


ゴールドが何も言わず素直に上着を受け取ると、シルバーはすぐに腕を引っ込めてドアを閉めた。


「驚かねーのかよ」


ゴールドは彼の上着を羽織りながら、小さくつぶやいた。


「これでもかなり驚いているがな」


「・・・へぇ」


シルバーのしれっとした態度に落ち着きを取り戻したゴールドは、シルバーの上着を着たまま部屋に入った。


「騙してた訳じゃないんだぜ。俺、昔からこうなだけ」


「そうか」


シルバーはゴールドの部屋に来ると決まってベッドの横に座って、背中をベッドに預ける。


今日も同じように座っていた。ゴールドもつられるようにその隣に腰をおろして、自室の壁を見つめた。











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