#クダリとトウコ




バトルサブウェイを攻略すべく、ギアステーション前にきたところ、扉を開いて出てきたのは客でも緑の服の駅員でもなく白いロングコートの車掌自らであった。
あ、トウコ来たんだ。なんていうのを聞くと、私達がここで出くわしたのは単なる偶然らしい。でもいつもなら電車にのって楽しそうにバトルをしている彼が何故ここにいるのだろう。

どうしたんですか?クダリさん。そう尋ねてみると相手はこちらの質問には答えずに、そうだ!とでもいいたそうな顔で近寄ってきた。
ねぇ、トウコ、僕にトウコのケンホロウ貸して、よ。

どういう意味ですか?そう私が再度尋ねなおすと、彼は身振り手振りを加えながら喋りだした。

僕たち、いっつも地面の下にいる。たまには外出て、ずっとずっと高いところ、行ってみたいんだ。でも僕たち飛行タイプもってない、空は飛べ、ない。
今日はダブルは点検中ー!
出発進行はノボリ、だけ。
さっきお休み、もらっちゃったんだ。


なるほど。じゃあただクダリさんは空を飛んで遊びにいきたいだけなんですね。でも、残念。今日は私このケンホロウを使ってシングルトレインを制覇する予定なんです。

私が軽くあしらうと、別のポケモン、使えばいいじゃん。トウコ、強いから大丈夫、だよ。だって。


地下は、時々息、苦しくなる。ねぇ、お願いだよ、トウコ。
僕休んでる間ノボリ仕事してる。良いお土産話、聞かせてあげたいんだ。

もし、貸してくれたら、ノボリの弱点、教えてあげる。

サブウェイマスターを倒せないがために、なかなか先へと進めずにいた私はすぐにその条件にのってしまった。



ありがとう!トウコ。ポケモンで空飛ぶの久しぶり、だからちょっとドキドキしてるよ。
私はそんなこと言ってる彼を横目にケンホロウを撫でる。
いい?この人はいつも笑っているし、ふざけた口調してるし、だいぶ変わっているけど、でも一応ポケモンの扱いはプロ中のプロよ。心配しないでこの人を貴方の背中にのせてあげて?

ねぇ、トウコ。それってけっこう僕に対して失礼だよ、ねぇ?
事実なんだから仕方ないじゃないですか。じゃあ私のケンホロウを貸すので約束通りノボリさんの弱点を教えて下さい。うん。いいよ!

そう言って私のすぐ、本当に凄くちかくに寄ってきてクスクスと笑うように囁く。

これは僕しか知らない内緒の話。
ノボリって、耳、息吹きかけられるのすっごく弱いんだ。
ほら、こんな風に。

フゥ…っと私の耳に吐息を吹きかけられれば、背筋がゾクッてして息の主の口角がいつも以上につりあがったのが見えた。

アハハ、トウコも、コレ、弱いんだねぇ。

私は急に頬が赤くなったような気がして早口で怒鳴りつける。

ふざけないでください!まさかノボリさんの弱点ってこれですか!?
私が知りたいのはこんなんじゃなくてポケモンバトルで突かれると弱い点とか、油断するポイントとかです!

私がキィキィ怒っていると相手は指を口元にあてて首を傾げる。

あれ、トウコ怒っちゃった?でも、これとっておきのノボリのヒミツ。僕約束、破ってない。
じゃあ、ケンホロウ空に向かって、出発進行!
トウコが、シングルトレイン終わったころ、戻ってくるよ。
きっと今日のトウコなら、ノボリのこと倒せるよ。弱点、教えたしね!

そして彼は私から逃げるように空と旅立った。

言われなくっても勝ちにいきますー!そしてその次は貴方のダブルですからー!!私は小さくなってゆく白いロングコートの裾に叫びつけた。


うん。頑張って、ね!
でもノボリも、クダリも、まだまだ手加減してる。だって手持ちがそうだもん。その次は、スーパートレインで待ってる、から。
あ、たまにはマルチにも、来てね!!

そう消えそうな声で小さく聞こえたソレに、私は鋭く睨みつけた。


私も、まだまだだな。
まったく、クダリさんのせいで時間も手持ちも失った。

私は空から目を背けギアステーションの中へと進んだ。

さっきの悪ふざけの感覚がまだ背中から抜けきれていないような気がした。







―――――――*
実はクダリさん本物見たことないんで捏造しまくりです。
会ったことないけど好きだー!いろんなサイトさん巡ってたらついつい書いてしまった。

ちょっとサブウェイ用にポケモン育ててきます。

文章無駄に長ェ…、

2011/06/21 UP


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