「見つけたぞ丸井ブン太ァー!」
「げえっ」


また来たこいつ。俺としたことが、とんでもない奴を敵にまわしてしまったらしい。
こいつは新聞部の部長で、各部活動のエースから恐れられているジャーナリスト志望の女。なんで恐れられているかって、俺もそれは知らなかったけど、自分が標的にされて初めてわかった。


「今日こそ最高のデータとらせてもらうんだからね!」
「なに柳みたいな事言ってんだよ…」
「柳くんにはいつもお世話になってるよ」
「どうゆう意味だ」
「ね、丸井くん!そろそろ観念して、データとらせて?」
「てゆうかテニス部のエースは赤也だろぃ!なんで俺んとこに来んだよ!」
「切原くんは素直にとらせてくれたよ!だからすぐ終わっちゃった」
「あの野郎使えねえ…」


そう、こいつはとにかくしつこいのだ。しつこさだけならプロジャーナリスト級だろう。だから各部活動のエース達は最終的に根掘り葉掘り聞かれ調べられ、こいつの手に落ちるというわけだ。
そんでやっかいなのが、こいつの情報の精度はすごいもんで、嘘の情報を教えてもすぐバレちまう。本当にやっかいだ。


「いいのかなあ?早くちゃんと対応してくんなきゃ、余計なとこまで調べ上げちゃうよー」
「余計なとこって…」
「丸井ブン太、三年B組、男子テニス部所属。天才ボレーヤーで、その機動力と頭の回転の早さは賞賛に値する。」
「はん、それのどこが貴重な情報…」
「しかーし。授業態度の悪さや明らかな校則違反など素行は思わしくなく、女子の人気は高いが、現在の彼女はA組の中田さん、同クラスの瀬川さん、D組の野口さんとまさかの三股を…」
「うわああああ!」


こっわ!なんでそんなことまで知ってんだ、仁王達でさえ知らねえんだぞ。こいつ本当にただの中学生か?裏の人間かなんかなんじゃねーの?なるほど、こいつを敵にまわすとこうなんのか…。これは味方にしとく方が得かもな。


「…お前さ、そんなことばっかしてっと彼氏できねーんじゃねえの?」
「別にいらないよ」
「いや、もったいねえって。お前結構かわいいのに。俺、お前みたいなのタイプなんだよなあ」


どうだ、必殺・女子悩殺目線。なんだかんだいって、こいつだってイケメンには弱いはず。これでこいつをいつも俺の目の届く範囲に置いとけたら…


「今のセリフ」
「は?」
「保健室の吉井先生を口説き落とした時のセリフだよね?」
「…………え?」
「まさかまさかの。四股っ」


にこ、と、こいつは笑った。まさかはこっちのセリフだ。さっき言わなかったからバレてねえと思ったのに。切り札。切り札か。ふざけんなよ。これは、まじで、やばい、かも。


「確か吉井先生はもう結婚して旦那さんもお子さんもー…」
「うわーー待った待った!!」










天才的ジャーナリスト

(降参です。)


部活のお姫様!様に提出。

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