墓参り | ナノ


また、空が泣いてる。
地球が何度も何度もまわって季節も何度か巡ったけれど、決まってこの日が近づくと当たり前のように雨が降る。まるで私のかわりに泣いてるみたい。ううん、それとも、あの人の変わりだろうか。

「なあ、また、雨が降ってるよ。まるで泣いてるみたいに」

傘もささず私を見つめていう彼は困ったように笑った。それをみて、もうあるはずのない心の臓がやんわりと締め付けられた気がした。あなたも同じこと考えていたんだね。

「この雨はあんたが降らせてるのかな。泣き虫なあんたのことだからまた泣いてるんじゃない?」

しゃがみ込みゆっくりと私をなでて彼は呟く。冗談っぽく笑う彼の声は寂しく辺りに響いた。ああ、やっぱりこの雨はあなたのために降ってるんだ。私じゃない。泣くことができない君のかわりに空が泣いてる。ないてる。

どうかお願い。もう私のために泣かないで。見上げた空は太陽を隠すどんよりとした雲で埋め尽くされている。あの雲は私みたいだ、そう思いながら隠れた太陽にごめんなさいと、音もなく呟いた。





10.05.20
きみは太陽だったのに
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