ユウジ誕 | ナノ


「ひ、一氏!」
「な…う うわっ!」
「ははハッピーバースデー!」

テニス部で一氏の誕生日パーティーをすることになり、プレゼントを渡す時が来た今。私はあらかじめ中に着込んでいた服装で本日の主役である彼の前に立った。

「なななななにしてんねんお前!」
「き、今日はあんたのメイドだから、わたし」
「はあ!?」
「あ、ちなみにこの衣装が俺からのプレゼントなんで」
「…お前の仕業か!」

真っ赤な顔した一氏が財前をギャアギャアと追いかけ回す。なんでこんなことになったかと言えば、私が一氏へのプレゼントについて財前に相談して奴の企みに乗ってしまったから、なんだけど。いや私もこんな プレゼントはワ・タ・シ みたいなことするつもりはなかったんだけど。財前の巧妙すぎる口車のせいであれよあれよと言う間に現在に至ってしまったのだ。イコール、私はただの被害者であるのです マル

「マネージャーかわええなあ」
「こげんむぞらしかメイドさんがプレゼントやなんて、羨ましか」
「でも一氏完全無視なんですけど…」
「やあねぇ、そんなん照れてるだけやないの!ねぇユウくん?」

小春ちゃんの問いかけにあからさまに肩を飛び上がらせて静止した一氏。そこにもう一度「ユーウーくん?」と小春ちゃんが声をかければ、ぐぎぎと立て付けの悪くなった扉のような動きでこちらを振り返った。

「あ、の、一氏、」
「…メ、メイドやろ」
「え、…うん」
「せやったら、ご、ご主人様って呼ばんかいドアホ」

目付きの悪い目をさらにぎろりと尖らせてそんなことを言われたもんだから、一瞬の間を置いて思わず吹き出してしまった。顔真っ赤だし。一氏の顔が赤すぎて私の羞恥心がいくらかかき消された気がして、笑えた。

「ごめんなさい、ご主人様」
「う…わ、かればええねん…」
「ユウジ先輩顔真っ赤や。照れてはるんでしょ」
「…や、やかましい!」
「ぶは、そないな顔で睨まれても迫力ないっすわぁ」
「あは、言えてる」
「ああもう!うっさい!死なすど!」
「ぎゃああ!」

とうとう怒ってしまったのか一氏がこちらに吹っ飛んできた。叫びながら逃げ回る私たち。なんだかえらいことになってしまったけど、ああ、楽しいなあ。でも後でもう一度、ちゃんと一日メイドとして一氏の言うこと聞いてやろうと、走り回るなかそう思いました マル



ハッピーバースデー、一氏!



「それにしても、誕生日にメイドやなんてえらいベタなもんにしたなあ財前」
「あのアホにはこれくらいストレートなもんやないと効かんでしょ」
「はは…ほんまどえらい後輩やなあ」
「そらおおきに」



2011.09.11
ユウジはぴば!
ユウジは恋愛よりちょっぴり友情色強めな話が好きです^^
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