「一人だけ赤ちゃんプレイはずるいで白石!」
「そうばい。俺もよしよししてほしか」
「あら、せやったらウチがシ・て・ア・ゲ・ルっ」
「浮気か!」
突然開かれた扉。そこには部活をしているはずのみんなが立っていた。唖然とする私達を他所にわらわらと部室に入ってくるなり彼らは私たちに抱き着いた。
「盗み聞きとはええ根性してんなあ自分ら」
「抜け駆けは許さへんっちゅー話や」
「マネージャー、俺にもよしよししてくれんね」
「ねーちゃんワイもー!」
「ちょ、千歳でかいねんから遠慮せぇや!金ちゃんも暴れたアカン!」
「蔵リン、ウチが慰めたるでぇ!」
「浮気か小春ぅ!」
私の隣にいる忍足も首に絡みつく千歳も白石に抱きつく小春ちゃんや小春ちゃんを抱きしめる一氏、念仏を唱える銀さんに飛び跳ねる金ちゃん、そんな様子を温かく見守る小石川もみんなみんな泣いていた。笑いながら、ひたすら騒いで泣いて。変な光景。
「財前、」
ふと白石が部屋の隅に視線を向けた。一人だけ輪の中に入らず気配を殺したように、そこには財前がひっそりと佇んでいた。みんなの視線も彼に集中する。
「なんですか」
「俺ら応援いくからな財前!」
「…来年、頼んだで」
忍足と白石の言葉に財前はそっぽを向いて吐き捨てるように「当たり前や」と呟いた。その拳は固く固く握られていた。
「さあさあ光クンもこっちおいで、ママが抱きしめてあげまちゅよー」
「先輩きもいっすわ」
「行きや財前。めんどいことなるで」
「ちょっとそれどういう意味よ」
「…こないつるぺたに抱きついて何が楽しいんや…」
「うごほ…っ!」
どすっと鈍い音をたてて財前が頭突きの如く胸に飛び込んできた。さも嫌々やってるような表情がなんとも面白い。そんな膨れっ面の後輩をみんなでぐちゃぐちゃに撫でて怒る姿にまた笑って。この涙と笑い声が全てを連れ去ってくれたらいいなと思った。
「赤ちゃんごっこっちゅーより幼稚園ごっこやなこの騒ぎ様は」
いつの間にか扉の前に立っていたオサムちゃんが優しい笑顔でそう言った。
くやし涙ここのつぶん
0724-27
死ぬほど長くなってやりたかった締め方が出来なくなった/(^O^)\