ぜんざい誕 | ナノ


登校中に立ち寄ったコンビニ先でたまたま見かけた新商品の白玉ぜんざいが何故か無性に食べたくなって買ってみた。昼休みご飯を掻き込み待ちに待ったメインのぜんざいをぱくり。ほどよい甘さと白玉のもちもち感にどこかの変態テニス部部長ではないがこれはエクスタシーだ。うめぇうめぇ。

「んんーっ、エクス…」
「…」
「えく…」
「…」

二口目を頬張り三口目の絶頂を迎えようとしたところで自分の机にポタリと雫が垂れた。え、雨漏り?いやいや本日は快晴なり。気にせずもう一度三口目をイこうとした。だけどまたポタリ、上から雫が垂れてきた。さすがに気になってエクスタぜんざいから視線を雫の垂れる方へ向けてみる。そこにはピアスとヨダレにまみれた男が立っていた。

「…」
「…」
「あの、垂れてますけど」
「構うな」
「いや構うわ!汚な!拭けよ!」
「おん」
「いや君の口じゃない、私の机な」

ごしごしと自分の口許を拭う財前。私の机にはヤツのおぞましい体液が依然残ったままだ。どうしようもうこれ机捨てたい。

「てかあの、なんすか」
「それ」
「あ?」
「ぜんざい」
「うん、そうですが」
「ぜんざい」
「いやだからなに」
「あ゙」
「ひいっ」

バンッと勢いよく机に手をついた財前は身を乗り出して口を開けた。怖いどうしたんだこの人。キャラおかしいぞ。

「な、なに、虫歯はないよヨカッタネ」
「誰が虫歯チェックしろ言うてんアホかハゲ死ね」
「えええ…」
「ぜんざい」
「は?」
「よこせ」
「は?」
「あーん」
「氷帝の跡部様のモノマネ?ぷっ、似てな…」
「殺すぞブス」
「えええ…」

物凄い形相で再度あーんをしてきたヨダレピアスくん。あまりの般若ヅラにその口にスプーンいっぱいに生け贄を差し出した。すると一転、般若ヅラは川越もびっくりなイケメンスマイルへと変貌を遂げた。

「んまい、白玉も」
「あ、はい」
「…はあ、もちもち絶頂や…!」
「…」
「…」
「…」
「なんや」
「いや…うん、なんもない」
「それどこで買うたん?」
「すぐそこのコンビニ。新商品」
「まじか買い占めたろ」
「財前ってぜんざい好きなのか」
「おん」
「ギャグ?ガチ?」
「ガチの愛や」
「…そうすか」
「なあ、もっと」
「ああ…はい…もうあげますよ…」
「いらん」
「は?」
「あーん」
「は?」
「あーんしろ言うてんねんハゲ」
「いや全部やるし。自分で食えよ」
「お前に食わしてもろうた方がうまい」
「…え」
「あーん」

なにこのかわいい生き物。かわいいがしかし早く机のコレ拭いてくれ。




2011.07.20
財前ハッピーバースデイ!


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