急に会いたくなったので来ちゃいました。真夜中に電話をかけると無言で通話をぶち切られた。それから少しして玄関の扉が乱暴に音を立てて開け放たれる。うわわご両親起きちゃわないかな。

「や、やっほー」
「馬鹿?馬鹿だよね?今何時だと思ってんの?」
「いやー、ははは」

眠さで目が開ききれていない彼はものすごく不機嫌で居たたまれない。深いためいきを吐かれる。自分でも馬鹿なことをしたとは思っているのだ。

「ほんとう馬鹿だよね、アハハ」
「凄まじく物好きなキモ親父とか凄まじく女に餓えたキモオタとかがいたらどうすんのさ、一応生物学上では女のくせに」
「うん、ごめん、心配してくれてありがとう」
「は?嫌味で言ってるだけなんだけど」

勘違いも甚だしいね。高い位置から嘲笑われたけど、それでもよかった。細長くて骨張った手に一瞬だけ触れる。温かくて気持ちがようやく満たされた。

「…なに、どうしたの。いつも以上に変だよ」
「ううん、なんでも。起こしてごめんね」

おやすみなさいと一言を残してわたしはもと来た道を歩く。安心したら急激に眠くなってきた。

「だから、こんな時間にひとりで夜道歩こうとするってどんな神経してるの?」

いつの間にか追いかけて来ていた彼に首根っこを掴まれた。ほんっと、馬鹿デショ。呆れ果てたようにそう吐き捨てられて申し訳ないようなでも嬉しいような気持ちとで、苦笑い。

「ごめん、ありがとう」
「今度ケーキ奢ってもらうよ」
「うん、何個でも」

世界が滅ぶ夢を見ました。君もみんなもぐしゃぐしゃになって冷たくて、目が覚めたとき夢と現実の区別が付かなくなったから、思わず君のところまで走っていたのです。なんて言ったら、きっと君はまた馬鹿馬鹿しいと毒を吐いてくれるのだろう。



0908
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -