自由がほしい | ナノ


この世界に自由はないんだよ。風のように自由に生きる男にわたしはそう言った。人はよく自由を例えるとき風を比喩に使う。だけど風は自由じゃない。地球が回ってるから風は吹いてる。太陽があって気温が変わり風力が変化する。なにかしらの規則性法則性があるのだ。だから風は自由なんかじゃない。
じゃあ自由はどこにあるの?そんなものどこにもない。この世にはすべてルールがある。息をしなければならない。食べなければならない。排泄をしなければならない。生きるだけで自由はない。なにもかもルール。ルールこそこの世。
自由を辞書で調べてみた。他から支配や強制を受けず自分の思い通りに出来ることだと辞書はいう。支配も強制もあるから生きているのに。息を吸わなければならない。ならないは強制だ。人はすべてのルールを見つけて、そして自由という言葉をつくった。なんとも矛盾した生き物だ。

風のように自由に生きる男は、それならば俺は息をしたい。食べたい。排泄をしたい。そう言った。生きたいから息をするのだ。死にたくなったら息を止めるさ。晴れやかに男は笑う。自由はどこにあるのだろう。男は答える。生きたいと思えばそれが自由なのだろうと。
深呼吸をしてみると、涙がこぼれた。



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