ずっとずっと一緒に戦ってきた。へとへとになって力尽きても、くじけそうになっても、いつだってわたしとあなたは一緒にいた。あなたが隣に居てくれれば、わたしには怖いものなんてなにもなくて。だからこそただひとつ、あなたがいなくなってしまうことが怖くて仕方なかった。戦いに身を置くものに死はつき纏う。わたしだって戦士だもの、死など恐れてはいない。だけどあなたが、愛する人が死んでしまうことだけはどうしても覚悟が出来ずにいた。もしも、もしもわたしより先にあなたが死んでしまったら、なんて、考えただけでも絶望に支配されてしまいそうになる。あなたがいない世界など生きる意味もない。あなたこそがわたしの世界。あなたこそがわたしの生き甲斐。
だからわたしは、あなたに内緒でひとつの禁断魔法を覚えた。もしものために。きっとあなたは悲しむでしょう。だけど、だけどね。あなたが生きていることこそがわたしの喜びなの。あなたがわたしを愛してくれているように、わたしもあなたを愛しているから。
ほんとうはこんな魔法を覚える必要のない平和な世界だったらよかったのにね。ううん、だけどこのモンスターを倒せば世界に平和が訪れる。あなたは死んだ。だけど生き返るの。そしてあなたの力でこのモンスターは消える。どうか、生きて。愛しい人。
「ごめんね。愛して、る…」
「くそ…!俺が、俺が不甲斐ないばっかりに…!」
愛しい人の涙が頬に滑る。ああ、あたたかい。幸せの温もりを感じて、わたしはそっと目を閉じた。
「くそおおおお!!!」
「アホな寸劇やっとらんと早よボス倒したってください」
ドラクエなう!
0612
メガザルについて考えてみた