まだまだ雪は降り続けているけれど、交通機関はかなり改善されていよいよまた仕事三昧の日々が始まった。だけど前よりすごく楽しい。同僚や先輩からもいつもより元気いいねって、なんだか前より明るくなったって言われた。

「お疲れさん」
「うん」
「おかえり」
「ただいま」

仕事が終わって会社を出ると銀髪が視界に飛び込む。このお出迎えも、もうお馴染みのことになっていた。朝のおはようも、いってらっしゃいも、お疲れもおかえりも。ずっとひとりだった私にとって、かけがえなくて、元気の源になっていた。

「ねぇ、いつもどうやって来てるの?」
「風にのって」
「反対方向に吹いてたら?」
「がんばって泳ぐ」
「ぶふっ!」

暖房をつけてない車内はひどく寒い。だけど彼とおしゃべりすると自然と温かくなる。不思議。不思議だらけ。電車もバスも乗れないのにほんとどうやって来てるのかな。不思議。でも、彼の不思議はぜんぶぜんぶ大好きだ。

「雅治くん」
「ん?」
「明日は久しぶりに晴れるらしいよ」
「日が出るんか?」
「うん、そうみたい」

家に帰りついてのんびりしてたら流れてきた天気予報。天気予報士のお姉さんが涼やかな声で明日はお天気でしょう!って言った。本当にお天気そうだ。

「…もうそろそろ春がくるか」
「え?」
「ん、ないでもなかよ。明日は休みじゃろ?かまくら完成させるぜよ」
「うん!」

天気予報をみて一瞬暗い顔をした彼が気になった。だけど私にはその理由がわからなくて、彼もすぐにいつも通りになったから気にすることはやめた。早く明日にならないかなあ、なんて。そんなことしか考えてなかった。

mae tsugi


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テーマ「人外ファンタジー」
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