この地域には珍しい記録的な大雪が降った。外は一面見たこともない純白に包まれて、ふかふかさくさくした雪は踏みしめると私の足をずぶりと飲み込んだ。寒さとは裏腹にワクワクと躍る心。そんな年じゃないってわかってるけど、今日は休日なのだ。休みの日ってのは好きなことを好きなようにするのが道理ってもの。年甲斐もなく雪にはしゃぐことへの羞恥心をそんな言葉で蹴散らして、銀世界へとダイブした。

手のひらサイズの雪玉をおにぎりをつくるみたいに固く固く握る。少し大きくなったらまたぎゅうぎゅうに握って、また大きくなったら固くして。それを何度も何度も繰り返す。そうして自分の腰ぐらいまで大きくしたらまたもうひとつ同じように作って、ずっしりと重たいそれを雪玉の上に乗せた。最後に拾った石で目鼻をつけて頭の上には定番のバケツをのっけて。なんだか不恰好で、石の形のせいか少し目付きの悪い雪だるまが出来た。だけどがんばって作ったからかすごくすごく、可愛くて愛しく思えた。

雪だるまが出来上がった頃にはもう昼も過ぎていた。時間も忘れて雪だるまを作ってたなんてどれだけ夢中になってたんだと自嘲。とっくに冷えきっていた体が思い出したようにぶるりと震えた。さすがに一度家に戻らないと風邪をひいてしまう。

家に入る間際、作った雪だるまに着けていたマフラーを巻いてあげて微笑みかけた。「今日から家族だね」冬の間の短い時間だけど、よろしくね。心のなかでそう呟いたら雪だるまが笑ってくれたような気がした。

mae tsugi


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