結局ごちゃごちゃとしている間に昼休みは終わり、気付けば5限目の開始を告げるチャイムがなっていた。どのみち遅刻なわけで、今から戻ったところで仁王と一緒に教室へ入るなんて気まず過ぎることが出来るはずもなく。そのままサボることになってしまった。ついに成績にまで影響が出ちゃってるわウフフこいつめどうしてくれよう。

「はあぁ…初めて授業サボってしまった…」
「おぉ、ワルへの第一歩じゃな」
「適当に茶化すのやめてくれない?そもそも仁王のせいでこうなってるんだけど成績落ちたらどうしてくれんの責任とれるわけムリだろいい加減にして」
「いや〜、まあ、それはすまん」

さすがに少しは悪いと思ったのか、後頭部を掻きながら仁王はちょっと困ったように笑った。どうせ悪びれた様子もなく口先だけの謝罪をされるか、こっちに非があるように言い出すと思っていたから予想外の反応にたじろぐ。



「俺に肩パンしてくるやつはそうそうおらん」
「みんな頼めば喜んでするんじゃない」
「なんのプレイじゃ」
「知るか気持ちわるい」
「第一そんなもんつまらんじゃろ」

女子たちの話をした途端仁王はうっとうしそうに眉をしかめた。そういえば仁王は変人でこそあれこんなによく喋る人間だっただろうか。どちらかと言えば無口で、クールだなんて囃し立てられていなかっただろうか。

「ミステリアスだのクールだのイケメンだの、だからなんじゃアホらしい」
「うーわうわ、最悪なこと聞いた」
「そりゃ多少そう見えるようにしとるがあそこまで騒ぎ立てる意味がわからん。シャボン玉に至ってはミステリアスとは言えんかろ。ただの電波じゃ」
「ええー…わかってたんだ」

ぐちぐち文句を垂れてる仁王にちょっとびっくりした。意外と普通のこと考えてたんだ。自分の信者うざがるとかウケる。

「でもお前さんはそれについて鼻で笑っとった」
「まあ…教室でシャボン玉はないし」
「そして足踏みつけて肩パンした」
「根に持つなオイ」
「仁王くんかっこいー付き合ってぇーとかばっかりな女子たちはまともに話も出来ん。みんな下僕みたいにハイハイアナタのためなら何でもします状態でつまらん」
「…これほど極上の嫌味があろうか」
「それに比べてお前さんはうざいきもいしねばっかり。あ、どっちにしろまともな会話出来とらんけど」
「んだと」
「けどそっちの方がおもしろい。ちゃんと自分の意志ぶつけられた方が何倍も楽しい」

つまりだ。コイツはなにが言いたい。

「じゃあなにか、わたしに友達になってほしーとでも思ってんの?」
「まあ、そういうことぜよ」

え、まじか。

「俺の本性知って普通にしとるんはお前さんだけじゃ」
「ああまあこんなクソみたいな性格ブスとかみんな思ってないよね」
「ちゅーわけで友達じゃからよろしく、名前」

最悪だ。最悪なガキになつかれた。つーかなれなれしく名前呼ぶなクソ!

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