主人公視点
千歳のことを白石に話しておこうか迷って早数日。中々言いづらいこともありいまだ行動に移せていない。一日中白石に話しかけようか迷っているため、白石も私の視線を感じているだろう。今まで白石なんぞに注目したことがなかったので気づかなかったけど、白石も結構モテるんだな…ほかのクラスから女の子たちが白石見物に来ている様子もうかがえた。
「友子…白石ってモテるんだね」
「今更何言うてんの。そんなの入学した時からそうやったやん」
「………そうだっけ」
「ちなみにやけど、テニス部は結構モテるやつ多いで。忍足君も人気あるし、あと2年の財前君も」
「えっ、財前君が?」
そうなんだ、財前君が…。
「ちなみに千歳君も転入してから結構ファンの子多いみたいやで」
「へ?」
千歳にファン?一体なぜ…私には一生知ることができそうもない女の子の不思議である。
小学校1年生から8年間、私はとにかく自分の気持ちを押し込めるのに精を出してきた。それもあってか他人に無関心なところも多かった。現に、こないだの合宿なんてみんな会ったことあった人たちだったのに「はじめまして」なんて言っていたし。
白石が「敵のこと知るのも仕事やで」みたいなこと言ってたな。改めて良くない癖だと思う。もっと周りの人に関心を持たなくては。
まあそれはいいとして中々一人になることがない白石。声かけるタイミングないじゃん。
「あ」
「ん?」
「私ちょっと行ってくる」
白石がやっと一人になった。今しかない。私は白石の元へ駆け寄り、「ちょっと」といって廊下へ連れ出した。
「なんやねん急に」
「…あの、白石には言っておかないとなって思ったんだけど…」
「…?」
「千歳、…右目が見えてないみたいなんだけど…」
言った
「ああ、せやな」
ん?
「え…知ってるの?」
「知ってるのって、そりゃ知っとるやろ」
「なんで…?」
「なんでって、去年の西日本大会で千歳と対戦した時に言うてたやん」
「去年…?西日本…?千歳と対戦…?」
「桜井…お前ほんまに覚えてないんか!?」
白石が呆れた顔をしている。ちょっとまって…千歳の前の学校は確か熊本の獅子楽中で、獅子楽中は確か去年なにかの試合でうちと当たって…千歳なんていたっけ…
「おったやん!俺と謙也がペアだったときの」
「…そ、それは覚えてるけど、相手のことまでは…」
「桜井、ほんまにあかんでその癖!他人に無関心!」
「ごめん」
自分で墓穴を掘ってしまった。白石の説教が身に染みる…。
「じゃあ、みんな千歳の目のことは知ってるんだ、」
「せやで。…でも桜井、よく気づいたな」
「…毎日一緒に帰ってるから」
「それでも、桜井にしては珍しいやん。そこまで人のこと見とるの」
確かに。
白石たちが結構モテることをさっき知ったくらいだからな…。
「ええ傾向や。その調子で、みんなのサポートしたってな」
「うん」
「千歳のことなら心配せんでええから」
そっか…私、千歳と去年会ってるんだ…。私は千歳のこと覚えてなかったけど(酷)、千歳は私のこと覚えてたのかな