新しい発見
財前視点

合宿が終わり地区予選も無事優勝。次の府大会に向けて部活全体にも締りが出てきたころ。クラスで音楽を聞きながら外をぼうっと眺めていると、隣の席の奴が声をかけてきた。


「なあ財前。桜井先輩ておまえんとこのマネージャーやろ?」
「…なんやねん急に」


なんでコイツが優奈先輩の話してんねん。急すぎてびっくりしたわ


「最近人気あるらしいで、男子に」
「は?」
「前までは美人やけどとっつきにくくて隠れファンが多かったんやって。でも最近雰囲気がやわらかくなったとかで、告白する男子も多いって話らしいで」
「…へー」
「ええなあ財前、美人マネージャーと毎日一緒やなんて」
「どこがええねん」



優奈先輩…最近男に告られたとか言うてたけど、ほんまに人気あるんやな…
そういえば、一氏先輩がこっそり売ってる優奈先輩の写真の売り上げも上がってるとか言うてたもんな。



「あの優奈先輩がねえ…」



少しおもんないな、とか思いながら部室へ向かっていた途中。木陰に男女の姿が。
あ、噂をすればなんとやら…




「その、好きなんやけど」
「……すみません」




優奈先輩、また告られとる。ほんまにモテ期やんか。あ、優奈先輩と目があってしまった


「…財前君」
「すごいっすね先輩、今月入って何人目でしたっけ」
「…盗み見とかやめてよ」
「偶然っすわ」


俺は適当にごまかしながら、優奈先輩と部室へ向かった。



「先輩、好きなやつおらんのですか」
「うん」
「試しにつきあってみたらええのに」
「…ヤダ」
「付き合ってみたら、新しい発見があるかもっすよ」
「もうこれ以上新しい発見いらないから」
「は?」
「別に」
「せや、テニス部の人らとかどうっすか」
「もういいじゃん」


あ、嫌そうな顔や。先輩は速足で部室へと行ってしまった。
前は先輩の表情こっそり読み取るのが面白いとおもっとったけど、これからはこうやってからかうのもおもしろそやな、なんて悪趣味なことを考えながら、俺も部室へ向かった。


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bkm
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