もしかしての話
白石視点

準決勝で青学に負けた俺たちは、決勝を観戦し、閉会式に出てから大阪へと帰ることになった。結局決勝は接戦の末青学が勝利を収め、立海の三連覇を阻止して終わった。まあええ大会やったと思う。俺らも優勝は出来ひんかったけど、みんなとの絆は深まったことやし。高校でリベンジしたろ。そして今、帰り道の新幹線。俺は金ちゃんの世話をしながら、ふと考え事をしていた。


というのは、桜井のことである。
「なあ白石ー」
あいつ、千歳がおらんかった時、めっちゃ挙動不審やったな…
「白石ー?きいとるのん?」
桜井のあない切なそうな顔も初めて見たし…
「白石白石白石白石白石」
「あーーもう金ちゃんやかましいで!」
「なんでわいのこと無視するんや!」
「金ちゃん、今考え事しとんねん。…せや」


俺は向こうの席にいたユウジに金ちゃんを任せ、小春の隣に腰を下ろした。


「金太郎はんげんきやねえ〜」
「…なあ、小春」
「ん?なあに蔵りん」
「桜井のこと、どう思う?」
「…蔵りん、まさか…恋!?」
「ちゃうわあほ、最近の桜井おかしないか?」


なんで小春はすぐ恋やなんやらの方へ持って行きたがるんや。しかし、俺の言葉に小春はポンと手を叩いた。


「うちもそれ、思っとったわあ」
「…千歳がいなくなった時くらいからおかしなった気するんやけど」
「そうやな、ちょうどそれくらいの時や。優奈ちゃん挙動不審やったもんねえ」
「……もしかして。なんてこと、ないよな?」


俺と小春は前の席の桜井を覗き込んだ。仲良く千歳と肩貸し合って爆睡しとる。


「…否定はできひんわねぇ」
「…千歳が桜井を好き…いや、桜井が千歳を好き…いやいやありえへん」
「優奈ちゃんと千歳やなんて、理想的なカップルやないの!めっちゃええわ〜〜」
「アホ、あの桜井やで、恋心なんてあるんか?」
「う〜ん確かに。」
「跡部くんにキスされて全く動じなかった女やで。恋なんてするんやろか」
「わからへんけど、万が一恋したとしても、優奈ちゃん気がつかなそうやな」



確かに。結構能天気で鈍いとこあるしな



「でも、もし優奈ちゃんが恋してるんなら、うち心の底から応援するわ」
「え…」
「恋するって、めっちゃええことやんか。優奈ちゃん最近ええ感じに人間らしくなってきとるし、優奈ちゃんと恋話もしたいし」
「…前半だけは同意や。…そうやな、しっかり応援したろか」
「って、蔵りんもせっかちやなあ〜。まだほんまに好きなのかわからへんやん」



頭では、桜井が誰かに恋してるなんてほんまに考えられへんねんけど、目の前のこの二人の姿みてるとそうは思えなくなってくる…部内恋愛なんて前例がないからどう扱うべきかわからへん。でもま、小春の言う通りやさしく見守るのが一番やな。うーん、それにしても桜井と恋愛が全く結びつかん…ほんまにすごい奴やな、桜井は。


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bkm
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