放課後のJC
主人公視点

それはめずらしく、買い物に行こうという誘いだった。



「小春ちゃん」
「優奈ちゃん!お疲れ〜〜。全国大会の荷物まとまったん?」
「うん。全部終わったよ」
「ウチなあ優奈ちゃんと買い物行ってみたかったんや。せっかく部活もはよ終わったことやし、ちょっと付き合ってや」
「うん。いいよ」


誰かと買い物なんて、初めてだし。私も少し興味がある。帰り際、千歳が帰ろうと言ってきたけど今日は断った。すこし悲しそうな顔してて、でかい図体なのに面白いなと思った。


電車に乗って天王寺まで出ると近くにショッピングモールがあったのでそこに入ることにした。私と小春ちゃんは生物学的には男と女だけど、おそらく誰が見てもカップルには見えないだろう。ていうか私の方が背高いし、小春ちゃんの方が女みたいな動きしてるし。



「何買うの?」
「別に決まってへんよ。買い物っていうよりウィンドウショッピングやね」
「ふーん…」
「アッほらあのワンピースかわええなあ〜」
「…ワンピースなんて何年もきてないなー…」
「優奈ちゃん普段はどんな恰好するん?」
「…ジーパンにTシャツかな」
「どこのオヤジやねん!ハッ思わずツッコミが…!」


普段ボケ担当の小春ちゃんがツッコミを入れるのは珍しい。「優奈ちゃん才能あるでえ」とか言われたけど全くうれしくなかった



「せっかくかわええのに、もったいないで」
「……うーん…」
「ほんまに優奈ちゃん恋とかしたことあらへんの?」
「ないね」


もったいないと叫ぶ小春ちゃん。こればっかりは仕方ないでしょ。気持ちの問題だもん。



「最近優奈ちゃんモテ期やったやん?ええなって思った人おらんの?」
「うーん。いなかったかな」
「跡部くんは?」
「例外だね」
「せや、蔵りんとかどう?」
「白石はないな」
「謙也とか」
「ないね」



「千歳は?」





「…ないね」




つまんないの!とぶそくる小春ちゃん。不思議なことに、千歳だけ一瞬考えてしまったのは無かったことにしよう…。




「優奈ちゃんにも恋が訪れるとええなあ」
「…うーん」
「優奈ちゃん、今まで感情表にださへんようにしてたやろ?」
「え…まあ…」
「最近は結構ええ感じになってきとるけど、せっかく芽生えた恋心、押し殺すようなことしたらあかんで?」
「うん。芽生えたらね」



そのあと小春ちゃんと今流行ってるらしいケーキ屋でケーキとお茶を飲み、プリクラまで撮って帰宅した。私も今時女子の仲間入りをしたような気分である。



「ただいま」
「あ、お帰り優奈。ちょうどよかったこれ」
「…なにこれ」
「肉じゃが!千歳君に持ってってあげて」
「え。なんで」
「多く作っちゃったから!ちゃんと持ってってね」



かえって早々なんなんだ…。千歳んちってどこだっけ、前一回案内されたような気はするけど。仕方なく私は肉じゃがのタッパーを持って千歳宅へ向かった。


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bkm
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