主人公視点
放課後、今日は部室でミーティングだから、練習の準備は必要ない。はやく帰れるかなあ。見たいテレビがあるんだけど、間に合うかなあ。なんて考えながら部室に入ると、顔面にクマのぬいぐるみが飛んできた。
ボスっ。
いい音だ。
「……なにこれ」
「きゃ〜〜優奈ちゃんやないのお!コルァ一氏!財前キュンが入ってきたらクマちゃん攻撃したろって計画やったやんか!優奈ちゃんのキレーなお顔に傷がついたらどないすんねんどあほ!」
「す、すまん小春!桜井大丈夫か?」
この二人はほんと悪ふざけがすぎる。四天宝寺の鏡みたいな奴らだ。
「大丈夫?優奈ちゃん」
「うん、大丈夫。財前君、怒ると思うよ」
「それが狙いやねん!財前キュンが怒ったら絶対イケメンやでぇ」
「浮気か小春」
やっぱりこの二人はよくわかんないな…。でも、小春は結構好きだ。なぜか話しやすい。
「お、三人とも早いな」
いくつか資料をもった白石が現れた。
ミーティングで使う資料かな?
「白石、かして」
「え……あ、ああ、すまんな」
机に資料を配っていると続々と部員が集まってきた。渡邊先生もいる。
「ん〜、遅いなあ」
「まだ来ないんですか先生」
「時間と場所は言ったんやけどなあ、なにしてんねんあいつは」
部員はみんないるはずだけど……
新入部員でもくるのかな
「……私探してきます。どんな人ですか」
テレビに間に合いたいがために気がきく言葉を渡邊先生たちにかけ、出入り口の扉を開けた。
ぽすっ
…この感覚は…
ついさっきにも感じたような…
おそるおそる顔を上げると、どーんと目の前に立っていたのはさっきの巨人。げ、なぜいるこいつ
「遅いでぇ千歳!」
「すんません。迷ってました」
「嘘つけどあほ」
先生に千歳と呼ばれた彼は惚けてるわたしの頭に手を乗せぽんぽんとたたいた。
「さっきぶりたいね。」
「……はあ」
わたしの頭をぽんぽんする男
あなどれない男だ…