無自覚な彼女
白石視点

俺は白石蔵ノ介や。新学期も始まって、俺らも三年生になった。これからますます部活に精を出していきたいとこや。
そんでもって問題なのは、マネージャーの桜井や。初めて同じクラスになったけど、ほんまに無表情やし愛想のかけらもない奴や。
マネージャーの仕事は完璧にしてくれるんやけど、もう少しコミュニケーションが取りたいところやなあ。

「なあ、白石。桜井はほんまに怒ってないんやな?俺めっちゃこわいんやけど…」
「せやから、あんなのいつものことやん。なに怖がってんねん」
「久々に話しかけたらあれやったから怖いねん。なあ朝倉、お前桜井とよく友達やっとるなあ」

朝倉とは朝倉友子のこと。桜井の唯一の友達や。

「別に。優奈は変にネチネチしてへんし一緒にいると楽やで?」
「ま、朝倉も変わっとるからな」
「忍足しばくで」

朝倉の一言にすんませんと謝る謙也。ほんまヘタレやな。

「桜井は愛想さえあればほんまに美人さんなのになあ。背も高くてすらっとしてるし」
「た、確かにせやな。怖いけど」
「でもまあ、優奈がテニス部のマネージャーでよかったやんか。テニス部のマネージャーって希望者多いから常に奪い合いやったらしいやん。優奈は黙ってればほんまに美人やから、右に出ようとする女子らもおらんやろ」
「せやねん。ま、本人は自分が美人やって全くの無自覚みたいやけど…」

実は、桜井には隠れファンが大勢いるのも有名な話だ。ただ、あれだけ身長も高くスラっとしていて美人なので中々手を出そうとする男子はいない。故に、陰でひっそりと見つめられるのが常になっていた。
ただ本人は「みんなわたしに怖がってる」と思ってるらしい。

まあそれはいいとして、とにかく桜井とのコミュニケーション考えていかんと、全国制覇は狙えへん。どうしたもんかなあ…


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bkm
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