クラクラする彼女
主人公視点

別にもともと泣かない人間なわけじゃなかった。でもなんとなく、私が泣くと周りの人が困惑することが多かった。幼稚園の時はよく転んで泣いていた記憶があるけれど、大きな図体をした奴が転んで泣いている姿を見て、どうしていいのかわからなくなっていたクラスメートたちの姿が記憶に焼きついている。

それがきっかけで、周りが困るから泣くのはやめよう。ってなって、いろんな気持ちを押し殺す癖がついて、いつの間にかこの有様になっていた。

だからまさか、人前で泣いただなんて自分でもまだ信じられないのだ。
そういえば不二くんに、雰囲気が変わったと言われた。私の中に、変化が生まれてるのだろうか。なんで急に…



「ほな、今ここに『桜井を跡部から守り隊』を結束する!」
「よっしゃあ!気合入るわねぇ〜」
「具体的には何ばしたらよかと?」
「桜井に近寄らせなければええんとちゃう?」


その後、皆はトランプを止めて輪になったかと思えば、どうやら一氏が隊長となって、おかしな団体が出来上がったらしい。なんですかこれは

「…あの…」
「大丈夫や桜井!俺が跡部を近づけさせへんから!スピードスターに任せとき!」
「えっと…」
「優奈!ずっと俺の後ろに隠れてれば、跡部に見つかる心配はなかばい!」
「え…………」
「とにかくや!明日から片時も桜井から目離したらあかんでぇ!」
「………」


一氏の仕切りにオー!と意気込む皆に言葉が出ない。私に目つけてないでボール追いかけてください…。


「あの、ほんとに大丈夫だから…」
「遠慮したらあかん。桜井は四天宝寺の大切なマネージャーや。俺らに任せとき!」

白石の眩しい笑顔に目が眩んだ。
明日から一体どうなるんだろうか…。別の意味で頭がクラクラしてきて、うなだれていると、隣で財前くんの笑い声がした。くそ、ややこしいことになってきた!


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bkm
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