孤独な彼女
主人公視点

今日は本当に散々な1日だった。今まで無表情で怖いだとか、愛想がないだとか、あれやこれやいわれることはあった。それは自分自身仕方のないことだと思えたので殆どダメージを受けることはなかった。だけどマネージャーの仕事に関しては違う。一応、一年の頃から真面目に取り組んできたし、四天宝寺の部員にも文句を言われたこともない。だから余計跡部君の言葉が胸に突き刺さった。

食堂へつくともうみんな集まって食べ始めている人もいた。
なんだか自分だけが何もできない無能な人間かのように感じて仕方がなく、その申し訳の無さから、食堂の隅っこで食事を取ろうとした。が、隣にどかっと千歳が座ると、四天宝寺のみんながぞろぞろと私の周りに集まってきて、悪目立ちしているような気がした。くそ、どこまでも千歳は天敵である。

べしゃっ

向こうの方で鈍い音がした。どうやら桜乃ちゃんが転んだらしく、青学の人達が人だかりを作っていた。

「何してんの竜崎」
「ちょっとよそ見してて…痛っ、」
「その手の擦り傷は見た目よりも痛いやつだ。早めに手当てしたほうがいいだろう」
「すみません…」

乾君はどこからかだしたのかさっと絆創膏を桜乃ちゃんに渡していた。それに対してありがとうございますとにっこり笑う桜乃ちゃんはとてもいい印象があった。

「優奈ちゃん箸進んでないやん。食べへんのぉ?」
「え…」
「桜井もっと食べへんと、健康に悪いで」


なんとなくその様子を目で追っていると、小春ちゃんたちが私の食事の器をのぞき込んできた。
すると千歳が横から箸を突き出し、私の皿から肉をかっさらっていった。

「…何してるの」
「残してたから食べてやったばい」


最後に食べたかったから残してたのに…。
わいわい騒ぐ小春ちゃんや一氏に白石が「静かに食べや」と注意した。その光景を笑いながら見ている千歳。仕返しに千歳の皿にあったデザートを食べてやると千歳はとてもショックそうな顔をしてて少し面白かった。

さっきまで、食堂にいる人全員が自分の敵のように思えていた感情は不思議とどこかへ行っていた。


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bkm
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