頭を下げる彼女
主人公視点

立海の部屋である黄の間へはすんなりと行くことができた。うーん。さっきの一件でなかなか入りづらい…
扉の前でうだうだしていると、いきなりドアがガチャっと開いた。

「む?」
「あ…真田くん…!」

いきなり真田くんは心臓に悪い。ばくばくだ。もちろんときめきの鼓動ではない。息切れ動悸の鼓動である。


「桜井か!何だ?」
「…えっと、皆さんに挨拶を……」


中へ入ると、黄色ジャージのひとがずらり。立海はカラフルな髪色のひとが多いな……。これまた個性が強そうである。

「四天宝寺の桜井です。多分皆さん去年会ってると思うんですが、物覚えが悪いので、すみません」

本当に誰とわからなかったので、申し訳なさそうにぺこりと頭を下げた。
私の挨拶にいち早く反応したのは眼鏡をかけた紳士だった。

「久しぶりですね桜井さん。マネージャーは少ないですが選手は大勢いますからね。柳生比呂士です。よろしくお願いします。」
「桜井、この一年で身長が167.35センチから170.86センチに伸びているな。柳蓮二だ。よろしく頼む。」

なんだこの人は


「俺丸井ブン太。俺のドリンクは濃いめにしといてくれよな。シクヨロ」


まるいぶた。ドリンク濃いめ。よし覚えた(失礼)


「俺はジャッカル桑原。よろしくな」

唯一まともそうなひとだ

「俺2年の切原赤也!優奈先輩めっっちゃ美人っすね〜。彼氏とかいます?」
「赤也!軟派などたるんどる!」
「ひ、すんませーん!」


切原くん……財前くんとは正反対だな……


「ほかに仁王という奴がいるのだが、どこで油を売ってるのかここにはいない。全くたるんどる」

「なんとなくみんな覚えました。よろしくお願いします。」


長居は無用だ。ぺこりと頭を下げ黄の間を後にしようとすると、真田くんが私を引き止めた


「桜井、俺は立海テニス部の副部長だ。部長はほかにいるんだが…」
「え、そうなんだ」

「幸村と言ってな、今は闘病中で入院している。幸村が揃って立海テニス部は成立する。幸村がいることも、覚えておいてくれ」


真田くんの言葉には何か信念のようなものを感じ、私は無言でうなづいた。幸村くんか……覚えた。
それにしてもやっぱり、四天宝寺は子供っぽいというかまとまりないなあと改めて思ったのだった。


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bkm
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