爆睡した彼女
財前視点

「天敵千歳?」
「わはは、ほんまに嫌われとるなー千歳!」

隣の謙也さんがさぞかし嬉しそうに笑った。普段一番優奈先輩から嫌われてるのこの人やしな。あほやな。
「優奈ちゃんてばよく寝てるわあ。寝顔も可愛いっ」
「黙っとれば桜井も美人やなあ」


小春先輩と一氏先輩もマジマジと優奈先輩の寝顔を鑑賞していた。一氏先輩は優奈先輩の寝顔を隠し撮りしようとしている。実はこの人が優奈先輩の隠し撮り写真を隠れファンの男子たちに売っていることを知っとるのは俺だけやと思う。

優奈先輩は、周りが言うほど無表情でも無愛想でもない。よく見るとほんのり表情が動いているのだ。
ま、こんなこと先輩らに言ったって、惚れてるだの好きだの茶化されるだけやから誰にも言っていない。
ただ、なんとなく俺に似てたから、気づいただけやった。きっと先輩は感情の表現の仕方が下手なんやろな。
優奈先輩の秘密を俺だけ知ってるみたいで優越感。いい気分やったのに最近は千歳先輩や白石先輩も優奈先輩のことを理解してはじめてるみたいや。ま、ええことやけど。
小春先輩は元々優奈先輩のことかわいいかわいい言っとったから、まあわかっとるんやろな。


「優奈…俺んこつそぎゃん嫌い?」
「せやで、一番嫌われてるのは千歳や!ワハハ」
「アホがおる…」
「聞こえとるで財前」


謙也さんは鈍感でヘタレやし、一氏先輩は理解する気もなさそうやな。
ほんま年上のくせにあほやわ。


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bkm
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