主人公視点
「…おはようございます……」
自分が朝に弱いことをすっかり忘れていた。なんとか集合場所にはついたけど、眠い。眠すぎる!
うつらうつらしながら私は点呼を取り始めた。小春ちゃんに一氏に謙也白石石田くん小石川くん……
「あ…財前くん…」
「眠そうっすね。先輩」
「あの…後でお金返すから」
「了解っす」
結局昨日のお金は全部財前くんに出してもらった。ほんとについてないな私。
あれ…?
「…白石…千歳と遠山くんがいない…」
「ま、予想通りやな。みんな先に荷物積んでバス乗り込みやー!」
白石は朝から生き生きしてるな。私は今にもくっつきそうな瞼をかっぴらき、荷物をバスへ積み込んだ。
私も早くバスに乗ろう、それで早く眠ろう。うんそうしよう。
「桜井、金ちゃんは今起きたみたいやから、後で新幹線で来るみたいや。千歳だけ待っとって」
「え…あの…」
そう言い放ち白石はバスへ乗り込んでいった。待つの?私千歳を外で待たなきゃいけないの?あーもーーなんだこの仕打ちは!!千歳め…どこまでも私を苛立たせるのか……
憎々しい気持ちでいっぱいになりながらいると、ひょこっとデカイ熊みたいな奴が見えてきた。
「すまんばい優奈、ギリギリセーフたいね」
ギリギリじゃねんだよ。と啖呵を切りたかったがそんな力も出ず。私は千歳に早くバスに乗り込むように手でくいっと合図をし、のそのそと席を探した。
「…小春ちゃんの横…」
小春ちゃんを探すと、その横にはすでに一氏が陣取っていた。そんな…小春ちゃんの隣に座ろうと思ったのに…。くそ、どこまでも千歳は私を苦しめる…もう眠くてたまらなくてフラフラしながら空いてる席へ座った。すると隣にでかい生き物がのっしと座る。千歳だ。なんでいるんだ!
「仕方なかよ、他に席空いてなかばい」
本当に憎々しい。きっと千歳の前世はネコで、私の前世はネズミだ。千歳は私の天敵なのだ
「優奈、そげん眠かと?」
「……うるさい、…天敵…ち、とせ…」