白石視点
千歳やスーパールーキー金ちゃんを迎え、四天宝寺はまた強くなった。今年はほんまに狙えるで、全国優勝!
一層気合が入る中、一方で金ちゃんの駄々っ子攻撃が桜井に炸裂するようになった。
「…あーあ、桜井困っとるなあ」
「あの二人はたから見てると親子みたいばいね」「あの身長差やからなあ。ま、桜井はあの手の駄々っ子は嫌いやろなあ。助けてやるか」
「その必要はなかとよ」
「え?」
「嫌ってるんじゃなか、その逆ばい。好いとるんよ」
…桜井が金ちゃんを好き?うーん嫌がってるようにしか見えへんけど。
「…んなまさか…」
「あの子は表面だけ見とったらいかんばい。」
「え…」
「無表情なんかじゃなかよ」
千歳はそう言うとコートを出て行き校舎の方へ消えていった。表面だけじゃあかんって、どういうこっちゃ…
千歳のやつどさくさに紛れてサボりに行ったな。
「…ったく。おーい桜井、大丈夫か?」
「…うん、本当騒がしいね…」
「ま、あの手のやつは単純やからなあ、コツさえつかめば扱いやすいで」
「…そうだね」
あ
ほんの一瞬
ほんの一瞬だけど、今、笑った…?
「…何」
「え、あ、別に」
じっと見つめていたらギロッと睨まれた。いつも通りや。
でもほんの一瞬、桜井は笑った。
千歳の言葉がストンと腑に落ちたような気がした。