手を焼く彼女
次の日。久々に練習が始まった。といっても新入生の体験入部もあるので、今日は私は新一年生のお守りに駆り出されていた。みんな何て初々しい…私より背の高い子が一人もいないよ…。

ぬっ
急に影ができて涼しくなった。影を辿ると、そこには千歳の姿があった。こいつ…私に影を作るなんてやりよるな…。なんでここにいるんだろう。早く練習行きなよ。

「…邪魔なんだけど」
「一年生、初々しかね。良さそうなやつおると?」
「さあ。」
「冷たかねえ…」

千歳は新一年生を眺めてしみじみとしていた。なんでここに居座るかな…千歳にムカムカしていると、赤い髪の毛の男の子がこっちへ突進してくるのが見えた。なんてスピードで走ってるんだ、ぶつかったら死ぬ…っ

私はさっと千歳の後ろへ避難した。こういう時、盾にするのには便利だな、何て思ってるとまた千歳に頭をぽんぽんとされた。くそーむかつくな

「なー姉ちゃん。わいも試合してええか?!」
私の10倍くらい大きな声で声をかけてきたのはさっきの赤髪の男の子。
目がくりくりしてて、身長も150くらいしかない。かわいいな…


「あ、うん。入部希望者だよね。今日は体験入部で素振りの練習からやってもらってるから、このラケットを…」
「いーーやーーやーーー!!わいも試合したい試合したい!!!」

わあ駄々っ子だ。一体どうしたもんか…私が手をつけられないでいると、騒ぎを聞きつけた白石がやってきた。


「君、入部希望者やろ?そないに試合したいんか?」
「めっっちゃしたい!」
「ほな、試合しよか」
「え…ほんまに!?」


男の子はぴょんぴょん跳ねながら喜び、ラケット片手にコートへ走っていった。その後、謙也と男の子の試合が始まり、謙也がボロ負けしたのはしばらくの間学校中で噂になったのだった。


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bkm
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