皇帝 | ナノ

「希望皇ホープで攻撃!ホープ剣スラッシュ!!」



今のホープの攻撃で勝負は決まった。私の勝ちだ。・・・といっても、殆どこの幽霊のおかげなんだけどね。とりあえず、男が逃げるように去って行くのを確認して安堵のため息をつく。
遊馬くんも見失っちゃったし、早いとこ戻ろう。

「・・・あの男はナンバーズの所持者ではなかったか。」
「所持者って・・・?っていうかそうだよ、このカード何?ナンバーズでしか破壊できないって。効果ずるいじゃん!助かったけどさ。」
「君は遊馬から何も聞かされていないのか?ナンバーズとは私の記憶のピース、彼の集めているカードの事だ。てっきり遊馬に協力している者だと思っていたが・・・。それでは君はいったいこれをどこで・・・。」

「・・・え?ちょ、ちょっと待ってよ・・・!」
「どうかしたのか?」
「なんで、遊馬くんを知ってるの・・・?遊馬くんが集めてるカードって・・・?そんなの初めて聞いた・・・!だって、これを渡してくれたのはエンペラーさんで、遊馬くんはクラスメイトでっ・・・」
「少し話がかみ合っていないようだ。そのエンペラーというのはよくわからないが、話を整理するためにとりあえず私の知っている事を話そう。」


思わぬ所で思わぬ名前が出て来て落ち着くどころの話じゃない。こう立て続けに意味の分からない事が起こって、私の脳内器官は限界ギリギリだった。それでも、遊馬くん、そしてエンペラーさんの謎が知りたくてアストラルの話を一生懸命聞いた。


彼の話はのっけから信憑性の無いものだった。だって、第一声がます「私はアストラル世界から来た」っていうから。それでも彼そのものがまず信憑性の無い存在であり、その彼が言うのだからきっと本当なんだろう。とりあえず霊ではない事がわかった。
そしてその異世界人の彼は、こちらの世界に来た時に記憶を無くし、その記憶はナンバーズというカードになって四方八方へ飛び散ってしまったらしい。それをかき集め本来の目的を遂行するのがアストラルの目的。

それから遊馬くんの話。アストラルがこっちの世界に来れたのは遊馬くんがこの皇の鍵を使って二つの世界をつなぐ扉を開いたからだと言う。この鍵は元々遊馬くんの両親の形見で、見ず知らずの人に渡す事は考えづらいみたい。
つまり、エンペラーさんと遊馬くんには繋がりがあるっていうこと・・・?

「遊馬は彼の両親の手がかりを追ってナンバーズを収集している。ナンバーズを集める目的は私と同じだが、私と出会った時既に遊馬は十分な強さを持っていた。彼には常に隣に居た私が邪魔だったのだろう。彼の手元に十分なナンバーズが集まった時に、最初の一枚であったホープと鍵と共に私はこの箱に閉じ込められてしまった。」

アストラルが話を進める度に、私の心の中でピースが一つずつ嵌って行く。
それは、カチッ、カチッとこ気味の良い音を立てて寸分のズレもなく奇麗に嵌る。

「え・・・おかしいでしょ?遊馬くんってデュエルはあんまり得意じゃないはずで・・・」
「ああ、遊馬はまだそれを続けているのか。」
「それ・・・って・・・?」

嘘だ、信じたくない。その答えを、話の続きを聞きたくなんて無い。
お願い、私の予想なんか外れていて・・・。



「遊馬はわざと実力を隠している。」




嘘つきの真実




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