皇帝 | ナノ
エンペラーさんの持たせてくれた箱には、カードと鍵のようなものが入っていた。鍵なんか、デュエルでどう使えっていうんだろう。それに、モンスター・エクシーズを一枚渡された所で、私の強さが跳ね上がるわけでもない。本当にこれで勝てるの・・・?



「君か、私を外へ出してくれたのは。」
「は・・・?」


突然男とは別の声がしたので驚いて声の方を振り返ると、視線の先に得体の知れない、薄水色の、半透明の・・・浮いてる・・・人が・・・
えっ、これ、これって・・・えっ・・・うそ・・・こんな、変態だけでも手に負えないのに・・・嫌だ、こういう存在を肯定したくない・・・!!うそ、うそ・・・!

「幽霊なんてうそおおおおーー!!!!」
「私は幽霊ではない!」
「嘘!だって、浮いてるし!半透明だし!全裸だし光ってる!」
「我が名はアストラル。幽霊ではない。」
「外人の霊だったー!!」
「霊ではないと何度言わせるつもりだ!そんな事より、デュエルはいいのか?」
「・・・え?」
「相手が待ってくれているようだが。」


自称アストラルとかいう幽霊の指差す方を見てみれば、怪訝そうにこちらを見ている男。向こうはDパッドも構えて準備万端のようだった。
っていうか、あの人にはこの幽霊見えてないの・・・??ますます幽霊すぎる・・・!信じられない、霊感なんて無いと思ってたのに、こうもくっきりはっきり見えてしかも喋ってるなんて・・・!

「もしかしてこの鍵は霊感を高めるためのものなの・・・!?」
「君は少し人の話を聞いた方が良い。私はアストラル。デュエリストだ。」
「デュエルができるの!?」
「分かったら早く君も構えろ。そのカードもエクストラデッキに入れるんだ。」
「う、うん、分かった・・・。」

なんだか気味が悪いままだけど、どうやらこの幽霊は悪霊じゃ無いみたいだし私のデュエルを手伝ってくれる雰囲気みたい。混乱した頭をなんとか支えつつDゲイザーをかけDパッドを展開してデュエル開始。






この幽霊・・・すごい・・・私のデッキで、こんな戦い方ができるなんて・・・。相手の男を押してる・・・。
普段ならこんな、人の言う事を聞いてデュエルなんて嫌だけど今は身の危険が迫っている。なりふりなんて構ってられない。私は彼の言う通りに、あらかじめ伏せておいたウォーターハザードを発動させて、手札から氷結界の舞姫を特殊召喚した。それから、通常召喚で氷結界の武士を召喚。
このターンに召喚した2体のモンスターは、レベルが4。男の顔が青ざめる。

「よし、これで君の場に2体のモンスターが揃った。あのカードをエクシーズ召喚するんだ。」
「うん、えっと・・・私は場の氷結界の舞姫と氷結界の武士をオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」







『現れろ、ナンバーズ39 希望皇ホープ!』




初めてのエクシーズ召喚




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