02 

――――……



「ん……。」

 目が覚めると、そこは見知らぬ草原だった。

 どのくらい落ちていたのだろうか、まだ頭がクラクラする…。

 グラグラと揺らぐ視界のまま、ゆっくりと体を起こした焔は、自分の近くにある人物がいない事に気づいた。

「…そうだ!樹理!」

 バッと立ち上がり、辺りを見渡すが、やはり樹理の姿が見当たらない。
 先に目覚めてどこかへ行っているのだろうか。それとも、落ちている時にはぐれたか…。
 望ましいのは一択目だが、可能性があるのはニ択目だ。

 兎にも角にも、早く探さなければ…。

「無事でいろよ…樹理…。」

 深い溜め息を吐き、とりあえず樹理を探そうと歩き出した、その時――

 グルルルル……

 茂みの奥から、まるで地の底から響くような低い唸り声。

「ッ?!」

 素早く身構えると、目の前には巨大な狼が……いや、前だけじゃない。後ろにも……。
 しかもこの狼、どうやら普通じゃないらしく、体中に蔦を纏っている。

「な、なんだ?!」

 見たこともない生物に、目を丸くするも、焔はすぐに詠唱を唱えた。

「右手に籠められし爆炎は汝を焼きつくす為にあり!」

 地面を思い切り殴れば、辺り一面に炎が広がる。

「ブラストクラッシュ!」

 生物たちを炎の衝撃波が襲う。

 たちまちその生物はそこら中の木に叩きつけられ、動かなくなった。

「なんだったんだ?今の…。」

 そう呟いた時だった。


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