チュンチュン…、可愛らしい鳥たちの鳴き声で、エリカは目が覚めた。
 これが噂の朝チュンというものだろうか…。否、これは"昼"チュンだ。
 その証拠に、昼12時には必ず鳴り響く教会の鐘の音がする。

 むくりとベッドから起き上がると、真っ先に二段ベッドの上へ登り、彼女を起こした。

「起きろエミ。朝、いや昼だ。」

 彼女、エミは「うぅー…」と唸り、布団を抱きしめて寝てしまった。

 エリカは呆れた溜め息を吐いた。
 まぁこうなるのも仕方ない。実際、エリカ自身も酷い頭痛に悩まされている。

 昨晩、エリカがビアスに昇格したお祝いに、ちょっとしたパーティーを開いた。
 パーティーと言っても、部屋でやるような小さなものだが。
 そこに、カルが「ジュースだ!」と言って持ってきた飲み物、実は酒だったのだ。
 グローディニアでは、16歳から飲酒可能だ。しかし、騎士は何歳になっても酒を飲む事は禁止されている。
 酒を飲んだとバレれば、厳しい処罰を受ける事になるかもしれない。だから、たとえ二日酔いでもバレずに振る舞わないといけないのだ。

「くそッ…。」

 少しでも動けば、ガンガンと強い痛みが頭を襲う。
 あまりの痛みに、思わず膝をつく。
 エミにあまり無理はさせたくないエリカは、上司たちにエミの具合が悪いという事を伝えに行こうと、立ち上がる。

 机の上に、『休んでいろ』というメモを残し、部屋を出た。

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