エリカは急いでいた。
長い廊下を走り、階段を下り、むかうは一階の巨大ホール。
ただ、ホールにむかうのはエリカだけではない。今日は、騎士たち全員がホールに集まるように指令を受けている。
まぁ、その騎士たちはすでにホールに集まっているだろうが…。
なぜエリカが遅刻しているのか。その理由はいたって簡単。寝坊したのだ。
朝が弱いエリカは、同室のエミに起こしてもらう場合が多い。
しかし、今日はどういう訳か、『9時までにホールに集まれ』という書き置きのみを残し、エミはどこかへ行ってしまった。
現在時刻は8時50分。そのため、エリカは大急ぎでホールに向かっていた。
「わッ?!」
だが、急ぎ過ぎて周りが見えていなかったのか、エリカは誤って階段の段差に躓いてしまった。
「………?」
しかし、エリカが想像していた痛みは訪れなかった。
不思議に思い、顔を上げると、そこには見慣れた顔があった。
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